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【Team Report】
長友佑都(ガラタサライ)など日本代表選手を輩出し、チームとしても選手権を過去に3度制覇している東福岡。九州を代表する名門校は今年も充実の戦力で大舞台に挑む。
今年度の特徴は個性の強さだ。とりわけ3年生は個人技に優れており、性格的にも自らの意見を遠慮せずに主張する選手が少なくない。それ故に意見がぶつかることも多く、3月のサニックス杯や船橋招待大会などで下位に低迷。シーズン開幕後は2種年代最高峰のプレミアリーグWESTで上位争いを演じていたが、今夏のインターハイは3回戦で敗退した。
大会終了直後の出雲遠征では志向するサッカーを巡り、チーム内で意見が対立。一筋縄ではいかない状況が続き、当初は「ポテンシャルがある」と太鼓判を押していた志波芳則総監督も、「ポテンシャルがあると勘違いしている代」と苦言を呈するようになった。
危機感を募らせ、徐々にチームとしてまとまりが出てきたのは夏以降。今予選も準々決勝以後の全試合で相手に先制点を許したが、見事に逆境を跳ね返してみせた。「試合で負けていても冷静に戦えていると思います」とキャプテンの中村拓也が話すように、どんな状況でもぶれずに逞しく戦う術を身に付け、個の力を最大限に発揮できるようになったのは成長の証だろう。
「チームプレーを大前提に置けば、もっと力は出せる」と森重潤也監督も期待する〝赤い彗星?。2015年度以来となる選手権制覇を成し遂げたとしても、何ら不思議ではない。