スペシャルゲストの登場に、会場が一瞬どよめいた。
 
　川口能活の現役ラストマッチ、相模原が鹿児島を相手に１-０で勝利を飾る。試合後の引退セレモニーで、花束を手に姿を現わしたのは、楢﨑正剛だった。
 
　長きにわたり日本代表で切磋琢磨し合ってきた良きライバルの登場に、川口もさすがに驚いたようだ。
 
「実は、（試合の）前々日ぐらい前かな、正剛と電話で話した時に、『よっちゃん、試合に出るの？』って言われたんですよ。『たぶん出ると思う』って話をして。なんでそんなことを聞くのかなと思ったけど、こういうことだったんですね」（川口）
 
　再会を果たしたふたりが、笑顔で言葉をかわす。
 
「とりあえず、『サプライズで来たよ』って。ちょっと前に電話では話していたけど、今回のことは言えなかったし。だから、今日はバレないようにして」（楢﨑）
 
　試合では、川口は多くのビッグセーブで完封勝利に貢献し、自身の現役ラストマッチで有終の美を飾る。その雄姿を、楢﨑はどう見ていたのか。
 
「節目とか、大事な試合とか、大きな大会とかで、自分の持っているものを出す、もしくはそれ以上のものを出す。そういう集中力とか、準備とか、やっぱり凄いなと思う」
 
　川口のハイパフォーマンスぶりに、楢﨑も「最後まで格好良かった」と言いつつ、「まだできる。（引退を）撤回してくれてもいい」と称賛していた。
 
取材・文●広島由寛（サッカーダイジェスト編集部）

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