一体、お披露目の瞬間はいつ訪れるのだろうか。

　プレミアリーグで躍進を遂げているトッテナムが、新スタジアム建設に本格着工したのは、昨年５月ことだ。彼らは1899年から約118年間に渡って歴史を紡いできたホワイト・ハート・レーンを取り壊し、そこに真新しい本拠地の建設を始めたのである。

　それから１年以上の時が流れた。その間にロンドンにあるウェンブリー・スタジアムを間借りしてきたトッテナムは、９月15日に行なわれるプレミアリーグ５節のリバプール戦から、誰もが待ち望んだ新スタジアムでプレーする、はずだった。しかし、お披露目に向けた動きが一向に進んでいない……。

　英紙『The Sun』は、「予定よりも大幅に遅れている。一体、いつファンに見せられるのかは見当がつかない」として、建設会社の最高責任者であるマーク・レイノルズ氏のコメントを引用しつつ、その深刻な現状をレポートしている。

「スタジアムの火災報知器の配電に、重大な過失が発生しているようだ。最高責任者であるレイノルズ氏は言った。『スタジアムは安全面で重大な問題が起きていることが分かった。配電盤に異常が起きている』」

　さらにレイノルズ氏は、次のように、不安視されている部分を付け加えている。

「スタジアムの外壁は、ほとんどがまだ完成していない。いわば、張りぼての状態だ。地面の舗装が済んでいない部分もある。とてもじゃないが、ファンを呼んで、試合が開催できる状態じゃない。８月27日と９月１日に予定されていた必要なテストを実施できなくなった。安全面での許可を得るため、これらのテストは新スタジアムでの最初の公式戦前に、日程を再調整しなければならない」

　一連の問題を受け、８月13日にトッテナムはクラブの公式サイトで声明を発表。ダニエル・レビー会長は、「今回のお知らせが、シーズンチケット保有者やプレミアムメンバー、そして世界中にいる我々のファンの人々を失望させるものであることは理解している。申し訳ない」と謝罪した。

　そのうえで、「このプロジェクトを立ち上げたときも、複雑で難しい建設になると考え、皆さんにサポートをお願いした。そして今、改めて引き続きの忍耐と寛容を求めたい」と訴えている。

　はたして、トッテナムが念願だった新スタジアムで躍動する日はいつになるのか？　現状では、現地10月28日のプレミアリーグ第10節のマンチェスター・シティ戦が有力視されているが……。