【W杯 今日は何の日?】7月10日「ドイツの連続決勝戦進出記録止まる」

カテゴリ:国際大会

サッカーダイジェストWeb編集部

2014年07月10日

伏兵ブルガリアに試合を支配され、美技での逆転弾を浴びる。

終盤にレチコフ(背番号9)の逆転弾を許したドイツ。準々決勝敗退は、54年スイス大会以降ではワーストタイの成績である。 (C) Getty Images

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 1994年7月10日、ニューヨーク郊外のジャイアンツ・スタジアムでは、ドイツとブルガリアによるアメリカ大会準々決勝が行なわれたが、戦前は実績に勝るドイツが圧倒的に有利とされ、順当な結果に終わるものと多くの人々が予想していた。
 
 前回王者にして、82年スペイン大会から3大会連続(歴代最多)で決勝戦に進出していたドイツ。90年に東西ドイツが統一されたことで、マティアス・ザマーやウルフ・キルステンといった東の好選手が代表チームに加わり、優勝した前回のチームよりも力は上という評価を得ていた。
 
 グループリーグでは完調と言えず、韓国戦で期待のシュテファン・エッフェンベルクが観客に中指を立て、ベルティ・フォクツ監督から強制帰国を命じられるというアクシデントにも見舞われたドイツだったが、強敵ベルギーを激闘の末に下した決勝トーナメント1回戦では調子が上向いてきていることがうかがえ、まだまだ十分な伸びしろがあると感じられるチームだった。
 
 対するブルガリアは、グループリーグでワールドカップ出場6大会目にして初の勝利をギリシャ相手に挙げ、さらに強豪アルゼンチンを撃破して決勝トーナメント進出。1回戦ではメキシコ相手に今大会初のPK戦にもつれ込み、GKボリスラフ・ミハイロフの好守で制するなど、まさに初物尽くしでベスト8(これも初)を果たした。
 
 試合はブルガリアの攻勢に始まり、ドイツが押し返すが、いずれのシュートもGKやポストに阻まれ、またドイツのルディ・フェラーのゴールはオフサイドと判定された。均衡が敗れたのは後半開始から4分。ユルゲン・クリンスマンが倒されて得たPKを、ローター・マテウスが決めて、ドイツが先制したのだ。
 
 ドイツにとっては、この1点でも十分に感じたことだろう。しかし、その余裕を打ち破ったのが、ブルガリアのエース、フリスト・ストイチコフである。76分、ペナルティエリア右手前のFKを直接決めたのである。その左足から放たれた鮮やかな一撃に、GKボド・イルクナーは一歩も動けなかった。
 
 勢いに乗ったブルガリアにとっての、この大会におけるハイライトシーンとも言える決勝ゴールは、同点から3分後に生まれた。巧みなパスワークでドイツDF陣を右サイドに引きつけたブルガリアは、抜群のタイミングでズラトコ・ヤンコフがライナー性のクロスを中央へ。これにヨルダン・レチコフがダイビングヘッド気味に合わせ、ゴールネットを揺らしたのだ。競り合ったのが小柄な攻撃的MFのトーマス・ヘスラーでは、ドイツにこれを止める手立てはなかった。
 
 この美弾がドイツに与えたダメージは大きく、以降の反撃は全てブルガリアにはね返され、1-2のまま試合終了のホイッスルを聞くこととなった。試合後、マテウスは「運が悪かった」ことを最大の敗因に挙げたが、ドイツはそれまで中盤で機能していたマティアス・ザマーを怪我で欠いたこともあってブルガリアに中盤を支配されており、結果的には必然的な敗戦とも言えた。
 
 4大会連続の決勝戦進出はならなかったドイツ。ファイナリストに返り咲くのは8年後の日韓大会となるが、残念ながらブラジルに0-2と敗れた。そして今大会、圧巻の準決勝を経て通算7度目の決勝戦進出を果たしたドイツは、4度目の世界一を南米の地で祝うことができるだろうか。
 
 
◆7月10日に行なわれた過去のW杯の試合
 
1982年スペイン大会
「3位決定戦」
ポーランド 3-2 フランス
 
1994年アメリカ大会
「準々決勝」
ブルガリア 2-1 ドイツ
スウェーデン 2(5PK4)2 ルーマニア
 
2010年南アフリカ大会
「3位決定戦」
ウルグアイ 2-3 ドイツ
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