【W杯 今日は何の日?】7月9日「衝撃冷めやらぬうちにイタリア戴冠」

カテゴリ:国際大会

サッカーダイジェストWeb編集部

2014年07月09日

史上2度目の決勝PK戦でイタリアが果たした数々のリベンジ。

八百長事件の影響でカルチョの危機が叫ばれていた時期の世界制覇。82年スペイン大会でもそうだったが、逆境でこそイタリアは常に強さを発揮してきた。 (C) Getty Images

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 2006年7月9日、ベルリンのオリンピア・シュタディオンでは、ドイツ大会決勝が行なわれた。カードはイタリア対フランス。98年フランス大会準々決勝でのPK戦、2000年ヨーロッパ選手権決勝での後半ロスタイムの同点劇→延長ゴールデンゴールと、いずれも劇的な形でフランスが勝利を飾っており、因縁のカードが最後に実現した。
 
 イタリアの歩みは、グループリーグから極めて順調だった。2勝1分けで首位通過すると、決勝トーナメント1回戦のオーストラリア戦こそ退場者を出して苦戦(1-0)するも、準々決勝ではウクライナを3-0で一蹴し、準決勝では開催国ドイツに貫禄を見せて延長後半に2点を奪い、気分良く決勝へ駒を進めてきた。
 
 対するフランスは、グループリーグでは1勝2分け。一時は敗退も懸念されたほどの不調ぶりだったが、決勝トーナメントで突如覚醒。この大会限りでの現役引退を表明していたジネディーヌ・ジダンの技が輝きを放ち出し、強豪スペインを3-1で下すと、準々決勝では優勝候補筆頭のブラジル相手に終始主導権を握って1-0の快勝、そしてポルトガルとの準決勝をジダンのPK一発で制し、2大会ぶりの決勝進出を果たした。
 
 戦前はイタリアがやや有利と見られていた試合は、フランスの先制で動く。開始わずか7分、ペナルティエリア内に侵入したフローラン・マルダがマルコ・マテラッツィに倒されたとしてPK。微妙な判定だったが、これをジダンがチップキックでクロスバーに当てながら決めた。
 
 対するイタリアは19分、CKからマテラッツィが力強いヘッドでフランスゴールのネットを揺らし、すぐさま同点に追いつく。イタリアは35分にも、CKから今度はルカ・トニがヘディングシュートを放ち、この時はクロスバーを叩いた。
 
 その後、互いに堅い守備を基盤にしながら、イタリアは主にセットプレーから、フランスはジダンの指揮の下でティエリ・アンリやフランク・リベリが効果的な突破を見せて、それぞれ相手ゴールに迫る。決勝ならではの緊張感のなかで、互いが最大限に良さを発揮する、好内容の90分間と言えた。
 
 延長戦に入ると、先に点を取られたくないという意識もあってか、両チームともに相手ゴールになかなか近づけないが、そんななかで最もスタジアムが沸いたのが前半13分、ウィリー・サニョルからのクロスをフリーのジダンがヘッドで合わせるも、GKジャンルイジ・ブッフォンが懸命に右手を伸ばして弾き返した場面だった。
 
 そして最大の衝撃は後半5分。ジダンの退場だ。マテラッツィに侮辱的な発言を受けたためと後にジダンは告白しているが、現役最後の試合、しかもワールドカップ決勝という極限の状況がその精神状態に影響を及ぼしたのも事実ではないか。いずれにせよ、この瞬間に英雄のキャリアは終焉を迎え、イタリアを精神的に楽にした。
 
 94年アメリカ大会以来の、決勝戦におけるPK戦決着。その時の敗戦チームであるイタリアは今回、5人全員が決めた。対するフランスは、2人目のダビド・トレゼゲがクロスバーに当てて失敗。フランスGKファビアン・バルテスは、マテラッツィ、ダニエレ・デ・ロッシに対してはコースを読んでいたが、伸ばした手はボールに届かなかった(一方のブッフォンは4本とも逆を取られた)。
 
 ジダン退場の衝撃は、まだスタジアム内に残っていたものの、イタリアの24年ぶりの戴冠式は盛大に執り行われた。大会前には八百長事件で揺れ動いたカルチョの国がこれを奮起の材料とし、因縁の相手にリベンジを果たした。それは同時に、90年大会で自国優勝を逃して以来、決勝のPK戦で敗れた94年大会を含め、ことごとく夢破れてきたイタリアが、4大会ぶりに果たしたリベンジでもあった。
 
 
◆7月9日に行なわれた過去のW杯の試合
 
1950年ブラジル大会
「決勝リーグ」
ブラジル 7-1 スウェーデン
ウルグアイ 2-2 スペイン
 
1994年アメリカ大会
「準々決勝」
イタリア 2-1 スペイン
オランダ 2-3 ブラジル
 
2006年ドイツ大会
「決勝」
イタリア 1(5PK3)1 フランス
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