この夜、ノエビアスタジアム神戸に集まった24,731人の観客だけでなく、中継を見ていた人のおそらく全員が熱狂しただろう。アンドレス・イニエスタの来日初ゴールが生まれた神戸対磐田の試合は、素晴らしいショータイムだった。
イニエスタのゴールをお膳立てしたのが、この試合で左足の剥離骨折から復帰したルーカス・ポドルスキだ。エリア内に抜け出したイニエスタへと通したスルーパスは、スピード、角度ともに実に絶妙。この元ドイツ代表の実力を証明する芸術的なお膳立てを、イニエスタも「素晴らしいパスだった」と称賛する。
ポドルスキ自身もテンションが高まっている様子で、「今日のゴールみたいなシーンは、みんながみんなできるわけではない。やっぱり選ばれた能力を持った人だったからすぐにできたのではないかと。そういうシーンだった」と振り返る。
たしかに、選ばれた能力を持ったワールドクラスふたりのスーパーゴールは、Jリーグではなかなかお目にかかれないし、真似しようともなかなかできないだろう。
ポドルスキもイニエスタによって持ち味を引き出され、また逆に相手を活かすことにもつながっているようだ。
「もちろん僕もイニエスタ選手からたくさん刺激を受けています。ああいう素晴らしい選手が日本に来てくれたのは本当に幸せなことで、彼と一緒にプレーできるというのは、本当に喜び」
ポドルスキはイニエスタとの共演を喜んだが、一方で、気に掛けるのは、このふたりのコンビネーションだけではない。
「神戸は、イニエスタや僕だけじゃなくて、それ以外の選手もたくさんいる。僕らの影響を受けて彼らに成長してもらい、もっと全体でレベルアップして、もっと怖いチームになっていく。それが理想です」
イニエスタの加入によって、神戸というチーム全体の底上げにもつながるというわけだ。ポドルスキの言う理想の先には、この日見たスーパーゴールを、神戸の若手がやってのける日が来るかもしれない。
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)
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