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【指揮官コラム】三浦泰年の『情熱地泰』|名門・鹿実サッカー部に復活の兆しを感じた理由

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2018年07月31日

神村、城西に押されている鹿実にショッキングなニュース(!?)

鹿児島では長く最強チームとして君臨した鹿実。写真は、2005年度の準優勝時のメンバー。(C) SOCCER DIGEST

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 鹿児島実業が「優勝」した。と、僕がコラムに書けば、名門・鹿実「サッカー部」と思う人がほとんどだろう。しかし、選手権の季節にはまだまだ早い。
 
 これは「野球部」の話。夏の甲子園、鹿児島県予選で、鹿児島実業が決勝で鹿屋中央に9−1で勝利し、鹿児島県代表として3年ぶりの甲子園出場を決めた。
 
 新聞の一面に大きく載った見出しを見て、僕は名門・鹿児島実業“サッカー部”に、復活の兆しを感じたものだ。
 
 実は鹿児島の高校サッカー界の勢力図も変わりつつあり、神村学園と鹿児島城西が鹿児島実業の少し上を、いや常時、上を走る時代になった。
 
 公立高校のレベルも上位校に接近。育成力のあるクラブ(チーム)も増え、選手が分散している現状もある。
 
 そこには、より育つ環境があり、鹿児島のジュニア、ジュニアユース年代の層は厚くなり、同時に子どもたちも多くの選択肢の中から自分に合ったチームを選べる環境となっている。
 
 鹿児島実業サッカー部を長年に渡り育て上げ、全国優勝2回。数多くの日本代表選手を育て、輩出していった松澤氏が昨年8月にお亡くなりになり、もうすぐ一周忌を迎えようとしている。
 
 松澤先生にお世話になった教え子たちは、鹿児島出身初のワールドカップ出場選手である遠藤保仁(ガンバ大阪)をはじめ、現役選手でも大勢いる。
 
 松井大輔(横浜FC)も弟のカズと同チームで頑張っているが、彼は京都からサッカー留学で鹿児島実業にお世話になった。
 
 もちろんユナイテッドにもいる。松下年宏、西岡謙太、赤尾公、谷口功は全国大会常連チームだった頃の中心選手だ。当時、選手権では常にベスト4を射程位置にし、市立船橋や国見といったチームと優勝を争っていた。
 
 その鹿児島実業がここ数年、全国どころか鹿児島県内でのタイトルさえも獲れない時期が続いている。
 
 そんな折に、野球部の「甲子園出場」というニュースは、サッカー部OBやその保護者、あるいは現役の選手とその保護者。そして監督、コーチングスタッフにとっては触れてほしくないニュースなのかもしれない。
 
 しかし僕は逆の発想で、これが力を生み出すと思うのだ。
 
 僕の立場は鹿児島ユナイテッドFCの監督であり、高校サッカーには大きな思い入れはない。むしろ、ユナイテッドFCの下部の方が気になり、その成長を思う気持ちは強い。
 
 ただ、歴史を振り返れば、鹿児島実業が鹿児島サッカー界を引っ張って来たのは事実だ。神村学園の指揮を執るコーチが鹿児島実業のOBであったり、育成、ジュニア、ジュニアユース年代を教えるコーチにもOBはたくさんいる。
 
 僕の親友でもあり、東京ヴェルディ監督時代にはコーチを務めてくれた久永辰徳は鹿児島実業で初の全国制覇を果たした時(この時は僕の母校・静岡学園と引き分け、同時優勝となった)のエースで、僕とアビスパ福岡で共に戦った仲。
 
 彼は現在、姶良にジュニア、ジュニアユースのクラブを設立し、真剣に子供たちの育成に日々努力し続けている。
 
 また、テレビの世界では前園や城が影響力のある人間としてコメントを残している。それぞれ東京ヴェルディ、ヴィッセル神戸で選手として共に戦った仲間だが、彼らもまた鹿児島実業出身者なのである。
 
 だから野球部が優勝したことで、サッカー部も現役だけでなく、OBたちですらプレッシャーを感じ、責任を感じ、それを力に変える時がそろそろ来るのでは!? と感じたのである。「古豪復活」という言葉はよく聞くが、伝統校の強さとは、そういう部分にもあるのではないだろうか。
 
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