【W杯 伝説への挑戦】皮肉な栄誉とともに、C・ロナウドのあっけない幕切れ

カテゴリ:国際大会

豊福晋

2014年06月29日

どこをどう見ても納得のいく大会ではなかった。

敗退が決まり、悔しさを噛みしめる。コンディション不良がすべてだったか……。 (C) Getty Images

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 クリスチアーノ・ロナウドは、複雑な表情を浮かべていた。
 
 ブラジリアで行なわれたガーナとのグループリーグ最終戦、ロナウドはマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。試合には勝った。自身のパフォーマンスも評価された。しかし、そこに笑顔はない。
 
 キャリア3度目のワールドカップ、ずっと先まで勝ち進むことを思い描きながら、たった3試合でブラジルの地を後にするという結末を迎えたからだ。
 
「今日はなんとしても勝たなければならなかった。試合には勝ったけど、それでも最終的には足りなかった。ドイツが1-0で勝っているのは知っていた。僕らは4点を取らなければならなかった。ベストを尽くしたんだけど」
 
 ガーナを相手に、ロナウドは過去2戦とは違い、多くのチャンスを手にした。彼に訪れた明らかな決定機は4度。どれも、本来のロナウドであれば易々と決めていたような絶好機だった。
 
 しかし、ゴール前でロナウドが放つシュートがネットを揺らしたのは、たったの一度だけだった。
 
 アメリカを得失点差で上回り決勝トーナメントに駒を進めるためには、ポルトガルは4点を取らなければならなかった。ポルトガル人は思った。ロナウドが決めていれば……。
 
 ロナウド本人にもその思いがあったのだろう。試合後の取材エリアを、無言で通り過ぎている。彼が今大会の3試合で言葉を発したのはたった一度、アメリカ戦――ピンポイントクロスをシルベストレ・ヴァレラに届けて、土壇場で追いついたあの試合だ――の後だけだった。どこをどう見ても、納得のいく大会ではなかったのだ。
 
 このガーナ戦のゴールで、ロナウドはワールドカップ3大会連続で得点を決めた初めてのポルトガル人になった。エウゼビオも、ルイス・フィーゴも、マヌエル・ルイ・コスタも達成できなかった記録だ。しかし、いまの彼にとってそれは何の意味も持たない。
 
 4度の決定機を外したロナウドには批判もある。いや、本当に問題視されるべきは、ロナウド以外の選手に決定機がほとんどなかった事実だろう。頼りになるセンターフォワードはまたしても現われなかった。中盤の駒不足。そして、すべてを壊したドイツ戦のペペの退場。
 
 タレントが限られたポルトガルは、ロナウドを最大限に活かすしか、上位に進出する術はなかった。しかし、「ロナウド・システム」は確立されず、そのうえファビオ・コエントラン、ウーゴ・アウメイダ、ルイ・パトリシオ、エウデル・ポスチガと主力が相次いで怪我に倒れていった。
 
 ロナウドも結局、100パーセントにはほど遠い状態で大会を終えた。敗退後に改めて状態を聞かれると、「開幕の時と変わっていない」と答えている。
 
 初戦のドイツ戦のペペの退場に始まったポルトガルのワールドカップは、ロナウドのマン・オブ・ザ・マッチ受賞という皮肉な栄誉とともに静かに幕を閉じた。
 
【了】
 
文:豊福晋
 
――◆――◆――
 
 ネイマール、リオネル・メッシ、クリスチアーノ・ロナウド――。自他ともに認めるブラジル・ワールドカップの主役候補の3人だ。彼らが挑むのは、ただし今大会の主役の座という限定的な栄誉ではないだろう。
 
 いずれもサッカー史に名を刻みうる特別な才能であり、ブラジルのネイマールはペレ、アルゼンチンのメッシはマラドーナ、ポルトガルのC・ロナウドはエウゼビオという、それぞれの国のレジェンドを超えうるカリスマだ。
 
 ブラジルの地で、いわば伝説に挑む3人の天才。その闘いに密着してお届けしよう。
 
――◆――◆――
 
 残念ながらグループリーグ敗退に終わったロナウドの「挑戦記」は、これで最後になります。

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