連勝を飾り、１試合を残したグループステージ突破を決めたフランスに対し、ナイジェリアとの最終戦でも終盤まで敗退の危機に直面していたアルゼンチン。全く対照的な道のりを辿ってきた２つの強国が、決勝トーナメント１回戦（決勝T１）で対峙することとなった。
 
◇グループステージ成績
フランス
グループC１位：２勝１分け・３得点１失点
○２-１ オーストラリア
得点者：グリエーズマン、オウンゴール
○１-０ ペルー
得点者：エムバペ
△０-０ デンマーク
 
アルゼンチン
グループD２位：１勝１分け１敗・３得点５失点
△１-１ アイスランド
得点者：アグエロ
×０-３ クロアチア
〇２-１ ナイジェリア
得点者：メッシ、ロホ

 
　両国はこれまで、公式戦、親善試合を合わせて11度対戦しており、フランスはわずか２勝しか挙げていない。W杯では第１回の78年ウルグアイ大会、アルゼンチンが開催国を務めた78年大会での対決が実現しているが、いずれもアルゼンチンは決勝進出を果たしており（後者では初優勝）、フランスとは実力差があった。
 
◇通算対戦成績＆直近３試合と国際大会での結果
（フランスの）２勝３分け６敗
2009年　フランス ０-２ アルゼンチン（親善試合）
2007年　フランス ０-１ アルゼンチン（親善試合）
1986年　フランス ２-０ アルゼンチン（親善試合）
1978年　アルゼンチン ２-１ フランス（1978W杯 GS）
1930年　アルゼンチン １-０ フランス（1930W杯 GS）
※GS＝グループステージ
 
　歴史的に見て、アルゼンチンの後塵を拝すことの多かったフランスだが、今回は３勝目を挙げる可能性は十分にある。ロリス、ヴァランヌ、カンテ、ポグバ、グリエーズマン、ジルーと、縦の軸がしっかりしており、エムバペら違いを出せる選手も擁する。組織も熟成している「レ・ブルー」は、間違いなく優勝候補の一角だ。
 
　対してアルゼンチンは、メッシという世界最高のスーパースターを擁し、戦術家サンパオリが率いているにもかかわらず、組織プレーが機能しておらず、常に後手を踏むような戦いに終始している。「メッシ依存」は、今回のチームも変わりない。
 
　こうしてグループステージの歩みを見ると、フランス有利とも言えるが、彼らも３戦を通して満足のいくプレーを見せた時間は決して長くない。攻めあぐねる場面、相手の攻勢を許す場面が少なくなく、地元メディアから批判を受けているほどだ。
 
　ともにいまひとつ安定せず、また戦況を劇的に変えられるタレントが揃っているだけに、試合の行方を読むのは難しい。また、このビッグカードを制したチームは勢いづき、一躍大会の主役となる可能性もある。そういう意味でも、絶対に見逃すことはできない。
 
　注目の対決は、６月30日（日本時間・同日23時開始）にカザンで行なわれる。