【W杯キープレーヤー解体新書】カリム・ベンゼマ|天賦の才を直感にしたがって

カテゴリ:国際大会

ロベルト・ロッシ

2014年06月20日

トップスピードで高度な技巧を繰り出せるのが最大の長所。

資質は文句なし。ベンゼマに必要なのは継続性と安定性だ。 (C) Getty Images

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 屈強な肉体にパワー、スピード、アジリティー、左右両足の優れたテクニックを備えた完成度の高いストライカーで、素質だけなら世界の頂点を争うべきレベルにある。にもかかわらず、そこまでの実績を残せずにいるのは、好不調の波が大きく、パフォーマンスに継続性と安定性を欠くためだ。
 
 気がつけば26歳と成熟を果たすべき年齢になり、その意味で今回のワールドカップは、国際レベルのストライカーとしての名声と評価を確立できるかどうかの試金石と位置づけられるだろう。
 
 所属するR・マドリーの時と同じように、フランス代表でも1トップとして相応の自由を与えられ、組織のメカニズムのなかでというよりは自身の直観にしたがってプレーしている。
 
 トップスピードで高度なテクニックを繰り出せるのが最大の長所。傑出したゴールセンスを持っているわけではなく、マークを外したり、スペースを作り出したりする動きやタイミングの感覚に優れているわけでもない。しかし、足下にボールをもらって前を向けば、そこからの突破でDFをかわして鋭いシュートを突き刺す。
 
 エリア内を主戦場とする古典的なCFではなく、やや遠めの位置から前を向いたときに持ち味を発揮するタイプだ。したがって、カウンターアタックは自身の特長を活かしやすい。
 
 こうした特性を踏まえれば、リベリ(*)、ヴァルビュエナとの3トップは組み合わせとしては悪くない。いずれもコンビネーションよりは単独プレーによる局面打開が持ち味で、戦術的な制約を受けずに自由にプレーしてこそ輝く。(*リベリは腰痛のため大会直前に離脱、本大会エントリーを断念した)
 
 この組み合わせであれば「互いの足を踏む」ことなく、それぞれの持ち場で個性と能力を発揮するのが可能だ。バラバラにプレーしながらも、全体としてはいいバランスに収まっていると言えばいいだろうか。
 
分析:ロベルト・ロッシ
構成:片野道郎
 
※『ワールドサッカーダイジェスト 出場32か国戦術&キープレーヤー完全ガイド』p63より抜粋。
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