W杯 窮地のスペイン代表 必要なのは信念を貫く覚悟と矜持だ

カテゴリ:国際大会

下村正幸

2014年06月18日

ミスを謝罪したカシージャスは、チームを鼓舞するスピーチを。

百戦錬磨の選手が揃うだけに、切り替えはうまくいっているようだ。強いスペインが戻ってくるか。 (C) Getty Images

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 スペイン代表は、優勝した前回大会も黒星スタートだった。しかし、スイスに最少得点差で敗れた4年前と異なり、今回はオランダに1-5の大敗。2008年のEURO(欧州選手権)からメジャー大会3連覇中の常勝軍団が、屈辱にまみれた。
 
 ただ、言うまでもなく、これですべてが終わったわけではない。次戦のチリ戦(6月19日)は、ビセンテ・デル・ボスケ監督がグループリーグ突破に向けてのポイントと位置付けていた試合で、実際、指揮官はすぐに頭を切り替えた。
 
 オランダ戦がタイムアップするや、一人ひとり選手を労ったデル・ボスケは、試合翌日、予定になかった記者会見を急きょ開いた。その席で試合後のロッカールームの様子を明らかにしながら、チームの前向きな姿勢をアピールした。デル・ボスケによれば、キャプテンで守護神のイケル・カシージャスが、失点につながった自らのミスを謝罪するとともに、熱いスピーチでチームメイトを鼓舞したという。
 
 メディアの反応は、いささか過敏で過激だった。とくに、以前から世代交代の必要性を訴えていた一部の急進派メディアは、「サイクルの終焉」と書き立て、プレースタイルに疑問を投げかけた。
 
「スペインはポゼッション重視のサッカーを基本コンセプトにしているけど、もう攻め勝つしかないんだ。このチームにはゲームをコントロールしながら、アグレッシブにゴールを目指す戦い方ができる人材が揃っている」
 というセスク・ファブレガスの発言や、シャビ・アロンソが語った、
「スペイン代表には様々なタイプの選手がいる。大量得点での勝利が必要な状況を考えれば、もう少しリスクを負った戦い方をしてもいいんじゃないかな」
 とのコメントを引用しながら、デル・ボスケの采配を責め、選手起用やスタイルを変える必要があると、そう訴えた。
 
 かつてない逆風に晒されているスペイン代表。この荒波を、はたして切り抜けられるのか。
 
 思い返せば、近年のスペインの快進撃は、今年2月に他界したルイス・アラゴネス前監督が周囲の圧力に屈せず、信念を貫いたその結果だ。重鎮のラウール・ゴンサレスを外し、テクニックに優れたバルセロナ勢を中心とした「ティキ・タカ」(ショートパスをつなぐバルサ流のサッカー)を追求する決断が、常勝軍団を作り上げたと言っていい。
 
 デル・ボスケと選手たちにいま必要なのは、信念を貫く矜持と覚悟だ。
 
文:下村正幸
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