「サッカー以外に趣味はない」と地元紙

後半戦に入る頃には出番が少なくなっていた伊藤だが、終盤で与えられたチャンスを活かしてチームのキーマンにまで昇り詰めた。クラブは新生チームの柱のひとりと考えているようだ。 (C) Getty Images
今シーズン、55年目にして初のブンデスリーガ2部降格という歴史的な屈辱を味わったハンブルク。最終節ではボルシアMGに勝利して意地を見せたものの、残留争いのライバルが勝利したことで奇跡は起こせず、ホームのフォルクスパルクでは失望と悲しみに暮れる選手の姿があった。
伊藤達哉もそのひとりで、ホルトビーの勝ち越しゴールをアシストするなど大奮闘を見せた彼は、サポーターが発煙筒などを投げ込んだことで試合が中断しているあいだ、他会場の結果を知ったのか、すでにこの時点で涙を流していた。
伊藤達哉もそのひとりで、ホルトビーの勝ち越しゴールをアシストするなど大奮闘を見せた彼は、サポーターが発煙筒などを投げ込んだことで試合が中断しているあいだ、他会場の結果を知ったのか、すでにこの時点で涙を流していた。
このような悲しい結末を迎えてしまった伊藤だが、シーズンを通してみれば、見事な飛躍を遂げた、記憶に残る1年となった。
U-23チームでシーズンのスタートを切り、6節レバークーゼン戦での途中出場でトップチーム・デビュー。そこから12試合の先発出場を含む20試合でピッチに立ち、鋭いドリブルでの仕掛けに加え、パス出しでも良さを見せて2アシストを決めた。
最初の頃はスタメンに名を連ねても、後半途中で足を攣らせて途中交代ということが続いたが、終盤にはフル出場の試合も増えるなど、時間とともに進歩と成長を遂げていった。ドイツの全国紙や専門誌でベスト11に名を連ねたり、4月にはリーガのベストルーキーにも選出されている。
この活躍でサポーターの心を掴んだ伊藤だが、本人は全く満足していないようだ。クラブのファンマガジン『HSV live』のなかで、20歳の日本人は「僕は極めて野心的だ」と語っている。(『Hamburger Morgenpost』より)
「ピッチの上でも、トレーニングジムでも、自分をより良くするために、全ての時間を費やしたい。僕はしばしば、最初に練習場に来て、最後までいることがある。自分のこうした姿勢が、成長に導いてくれていると思う」
「僕はまだ、何も成し遂げていないし、まだまだ成長できると思う。もっと広いエリアで、効果的なプレーを見せられるようになるはずだ。ゴールやチャンスメイクといったプレーをね」
『Hamburger Morgenpost』紙からは「サッカー以外に趣味がない」と紹介されている伊藤。怪我により、U-21日本代表としてトゥーロン国際大会へ出場することは叶わなかったが、選手としての成長することだけに集中している彼の将来は、非常に楽しみである。