今夏のロシア・ワールドカップで、イングランド代表の命運を握ると言われているのが、トッテナム・ホットスパーが誇る若きデュオだ。24歳のFWハリー・ケインと、22歳のMFデル・アリ。文字通り、アタッキングサードで阿吽の呼吸を見せる。
 
　アリにとってはもちろん、キャリア初の檜舞台だ。英国営放送『BBC』で解説を務める元イングランド代表FW、アラン・シアラーは「アリこそがイングランドのキーマンだ。我々はこの突出した才能を上手く活用しなければならない」と期待を寄せる。圧倒的な技巧をベースに、ドリブルで果敢に仕掛け、敵DFの裏のスペースを巧みに突けば、精度の高いフィニッシュ＆ラストパスをどんどん繰り出す。MKドンズ時代やスパーズ入団当初はセントラルMFでの起用が多かったため、守備的なタスクも十二分にこなせる。
 
　これまでのイングランド代表にはいなかった稀有なタレントである。ブライアン・ロブソンとも、グレン・ホドルとも、クリス・ワドルとも、ポール・ガスコインとも、デイビッド・プラットとも、デイビッド・ベッカムとも異なる、言わばスーパーマルチだ。

 

　今シーズンのプレミアリーグでは、ここまで31試合に出場して８得点・10アシストをマークしている。トッテナムの公式ツイッターが今回フィーチャーしたのが“お膳立て”のクオリティーだ。10アシストの内訳は、ケインに４本、ソン・フンミンに４本、クリスティアン・エリクセンに２本。高品質なパスを受けた一線級のアタッカーがものの見事に決め込む、ゴラッソの連続となっている。ファンからは「センスの塊だ」「この若さでなんてクールなんだ！」「ケインもソンも感謝しなければならない」と賛辞のメッセージが相次いだ。
 
　ピッチ内外でその破天荒な振る舞いが話題を集めてきたが、さすがに最近は学習したのか、大人になったのか、プレーに没頭してハイパフォーマンスを連発している。22歳にして完成の域に達しつつあるスリー・ライオンズの至宝。ロシアでの大暴れに期待したい。