衝撃の“肩ドリブル”から12年――。
2シーズンぶりにアジアの舞台を戦う柏レイソルに牙を向いたのは、かつて“神童”と呼ばれた元セレソン戦士アレシャンドレ・パットだった。
この日、天津権健の先発メンバーにパットの姿はなかった。試合後に指揮官のパウロ・ソウザは、「日本のチームにはよりスピードがあって、動きが敏速なストライカーが必要だった」とベンチスタートの理由を説明したが、しかし、その出番は想定していたよりも早く巡ってくることになる。
36分、天津権健のベンチ前にパットが姿を見せ、ピッチへと送り込まれたのだ。この時、彼の姿を見つけた日立台のスタンドがざわつき、元セレソンの知名度の高さを伺わせた。
思えば、パットは、まだ17歳だった2006年に南米王者インテルナシオナウの一員としてクラブワールドカップに出場するために来日していた。
その大会でのパットは図抜けていた。国立競技場で行なわれたアル・アハリ戦では肩でリフティングしながらのドリブルを披露するなど才能の片鱗を見せつけ、欧州王者バルセロナとの決勝戦も先発し、同クラブの世界制覇に大貢献。パトはその約半年後の2007年8月にミランへ渡り、一気にスターの仲間入りを果たしていった。
そんな“神童”と呼ばれた時代から12年の時が経った。紆余曲折あり、中国に流れ着いたパットだったが、その実力は衰えてはいなかった。28歳となった元ブラジル代表FWは、43分に軽快なドリブルからミドルシュートを放てば、45分には惜しくも取り消されたものの、ゴールネットを揺らす“幻のゴール”を決めてもいた。
柏の勢いに押し込まれ、チームが劣勢に立たされた後半は、味方のサポートを得られずに苦戦する場面が目立ったが、昨年1月に1800万ユーロ(24億3000万円)でチームに加わった点取り屋は、チームが1点のビハインドを背負った試合終了間際88分にスターたる所以を見せつけた。
自陣からの速攻で抜け出したアントニー・モデストのシュートを柏のGK中村航輔が弾くと、そのこぼれ球を冷静に押し込み、値千金の同点ゴールを決めたのだ。
日立台を沈黙させ、まさに千両役者ぶりを発揮してみせたパットには、指揮官のP・ソウザも「救われた」と賛辞を贈っている。
「パットの活躍にはとても満足していますよ。彼はスピード感を溢れるプレーを見せてくれましたし、やるべきことをやってくれたと思っています。態度も良くて、チームを想ってプレーをしてくれた」
現役時代の1990年代には、ルイス・フィーゴらとともにポルトガル代表の黄金期を支え、欧州を代表する選手のひとりでもあったポルトガル人指揮官。だからこそ、天津権建きっての“スター”であるパトの重要性を熟知し、次のように語ってもいる。
「パットのようなプレーヤーは貴重だと思っています。我々はもっと彼のレベルに近い選手を探したい。私はパトをサポートし、ベストのチームを作りたいんです」
残念ながら試合後にパット本人への直撃は叶わなかった。だが、そのパフォーマンスとカリスマ指揮官の言葉から、“神童”と呼ばれた男の力がいまだ健在であることは十分に感じ取れた。
取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)
【ACL 柏 1-1 天津権健 PHOTO】クリスティアーノが技ありボレーで得点を決めるもアレシャンドレ・パトにゴールを許し痛恨のドロー
この日、天津権健の先発メンバーにパットの姿はなかった。試合後に指揮官のパウロ・ソウザは、「日本のチームにはよりスピードがあって、動きが敏速なストライカーが必要だった」とベンチスタートの理由を説明したが、しかし、その出番は想定していたよりも早く巡ってくることになる。
36分、天津権健のベンチ前にパットが姿を見せ、ピッチへと送り込まれたのだ。この時、彼の姿を見つけた日立台のスタンドがざわつき、元セレソンの知名度の高さを伺わせた。
思えば、パットは、まだ17歳だった2006年に南米王者インテルナシオナウの一員としてクラブワールドカップに出場するために来日していた。
その大会でのパットは図抜けていた。国立競技場で行なわれたアル・アハリ戦では肩でリフティングしながらのドリブルを披露するなど才能の片鱗を見せつけ、欧州王者バルセロナとの決勝戦も先発し、同クラブの世界制覇に大貢献。パトはその約半年後の2007年8月にミランへ渡り、一気にスターの仲間入りを果たしていった。
そんな“神童”と呼ばれた時代から12年の時が経った。紆余曲折あり、中国に流れ着いたパットだったが、その実力は衰えてはいなかった。28歳となった元ブラジル代表FWは、43分に軽快なドリブルからミドルシュートを放てば、45分には惜しくも取り消されたものの、ゴールネットを揺らす“幻のゴール”を決めてもいた。
柏の勢いに押し込まれ、チームが劣勢に立たされた後半は、味方のサポートを得られずに苦戦する場面が目立ったが、昨年1月に1800万ユーロ(24億3000万円)でチームに加わった点取り屋は、チームが1点のビハインドを背負った試合終了間際88分にスターたる所以を見せつけた。
自陣からの速攻で抜け出したアントニー・モデストのシュートを柏のGK中村航輔が弾くと、そのこぼれ球を冷静に押し込み、値千金の同点ゴールを決めたのだ。
日立台を沈黙させ、まさに千両役者ぶりを発揮してみせたパットには、指揮官のP・ソウザも「救われた」と賛辞を贈っている。
「パットの活躍にはとても満足していますよ。彼はスピード感を溢れるプレーを見せてくれましたし、やるべきことをやってくれたと思っています。態度も良くて、チームを想ってプレーをしてくれた」
現役時代の1990年代には、ルイス・フィーゴらとともにポルトガル代表の黄金期を支え、欧州を代表する選手のひとりでもあったポルトガル人指揮官。だからこそ、天津権建きっての“スター”であるパトの重要性を熟知し、次のように語ってもいる。
「パットのようなプレーヤーは貴重だと思っています。我々はもっと彼のレベルに近い選手を探したい。私はパトをサポートし、ベストのチームを作りたいんです」
残念ながら試合後にパット本人への直撃は叶わなかった。だが、そのパフォーマンスとカリスマ指揮官の言葉から、“神童”と呼ばれた男の力がいまだ健在であることは十分に感じ取れた。
取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)
【ACL 柏 1-1 天津権健 PHOTO】クリスティアーノが技ありボレーで得点を決めるもアレシャンドレ・パトにゴールを許し痛恨のドロー
Facebookでコメント
- 「日本との格差は想像を絶する」全日本O-70選手権のクオリティに中国衝撃!「70歳でも国を支配できる」
- 「女性の場合、試合前の“夜の営み”は普通。でも…」ロシア女子代表GKの赤裸々発言が大反響!過去には「最も美しい20人のアスリート」に選出
- 「嫌悪感しかない」FIFA投稿の02年W杯・韓国4強回想動画に批判殺到! アン・ジョンファンのブッフォン踏みつけ衝撃シーンも…「歴史上最も恥ずべき大会」
- 「大喧嘩をした」なぜ吉田麻也はサンプ主将の叱責に激怒したのか。立ち向かった“真意”を明かす「欧州では、ごめんって言ったら…」
- 「まじかよ!」「同じ人間か…」元なでしこ永里優希が披露した“上半身裸の肉体美”にファン感嘆!