【選手権】負傷した弟を決勝に連れていく!”田部井ツインズがピッチ外で深めた絆

カテゴリ:高校・ユース・その他

松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

2018年01月09日

弟が3回戦でまさかの負傷...。その時、兄は「もう1度一緒にプレーをする」と誓った。

最高の時を迎えた弟・涼(14番)と兄・悠(9番)。ふたりの想いは決勝の舞台で結実した。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 双子としてこの世に生を授かった兄の田部井悠(3年)と弟の涼(3年)。最後の選手権は日本一で幕を閉じたが、そこにたどり着くまでの道のりは前途多難だった。
 
 1月8日に行なわれた高校サッカー選手権の決勝で前橋育英は流経大柏との伝統校対決を制し、悲願の初優勝を成し遂げた。序盤から激しい球際の攻防が繰り広げられるなか、最後は後半アディショナルタイムに生まれた榎本樹(2年)の劇的な決勝弾で日本一を手中に収めた。
 
 どちらに勝利の女神がほほ笑んでもおかしくなかった大一番。凱歌を響かせた前橋育英にとって、何より大きかったのが田部井ツインズの存在だ。主将でチームのエースナンバー“14番”を背負う涼はボランチの位置で絶妙な位置取りと、豊富な運動量でチームの勝利に貢献した。一方、背番号9の副主将・悠も右サイドハーフの位置で動き出しの良さで攻撃をリード。守備面でも献身的なプレッシングを怠らず、攻守で堅実なプレーが光った。そして、ふたりが最も”らしさ”を見せたのはチームの士気を上げる声の部分。苦しい時間帯にチームメイトを鼓舞し、最後まで戦う姿勢を誰よりも体現した。
 
 見事な働きぶりでチームを優勝に導いた9番と14番。しかし、弟・涼は3回戦で右ひざを打撲。そのため、準々決勝の米子北戦と準決勝の上田西戦は欠場し、決勝への出場が危ぶまれていた。ただ、そんな状況に本人は焦ることはなかったという。

「絶対に間に合わせるから」

 大会中もピッチ外でコミュニケーションを交わす機会が多かった兄・悠に、大一番までに復帰を果たす意思を伝えていた。その言葉に悠は「自分が涼を決勝まで連れて行って、もう一度、一緒にプレーをすることを心に決めていた」と明かし、“絶対に決勝まで勝ち上がる”と決意。決勝への想いが誰よりも強くなった。
 
 そして、迎えたファイナル。怪我を完治させた弟の涼はキャプテンマークを巻き、埼玉スタジアム2002のピッチに立った。「試合をやる前は正直不安もあったし、本当に足が持つのかなという想いもあった」と足の状況は万全でなかったが、「試合前に応援席へあいさつに行ったら、『兄を含め、みんながここに連れてきてくれた』という感謝の気持ちが改めて出てきて、試合では自然と体が動きました」(涼)。兄の悠も弟の凄みを改めて実感。「一番はセカンドボールを拾えることと、声を出せること。キャプテンということで人間性がすごくあるのですが、流経大柏に少し攻め込まれていた時も率先して声を枯らすほど出していた。チームにとって本当に心強いなと思いました」(悠)。
 
 小学校の時から同じチームで苦楽をともにしてきたふたり。最後は最高の結果で高校サッカー生活を終えた。卒業後は兄の悠が早稲田大、弟の涼は法政大に進学する予定だ。人生で初めて別々のチームとなるが、選手権で深めた絆を携えて田部井ツインズは新たな挑戦へと身を投じる。
 
取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)
 
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