かつて小野伸二がフェイエノールト時代に薫陶を受けたオランダ人指揮官は、いつものように表情をひとつも変えずに淡々と、流暢な英語でゲームへのインプレッションを語った。
「我々は明日、グループで一番強いチームと対戦する。予選を突破した日本代表チームにはおめでとうと言いたい。本大会に出場するに相応しい、素晴らしい戦いを見せたと思う。だが我々はどんな状況であれ、どんな強豪が相手であれ、強い気持ちを持って戦い、勝利しなければならない」
ただ、どう考えても奇妙なのが……としたのが、他試合のキックオフ時間だ。
「最終節だというのに、我々はライバルであるオーストラリアとエミレーツ(UAE)の結果を知ったうえで、日本との試合を戦うことになる。なかなかないシチュエーションだろう。それはスタンドにやってくるファンも同じだ。なかなか難しい状況ではあるが、すべては勝てばいいわけで、受け入れるしかない」
日本の情報はどれくらい得ているのか、との質問に対しては?
「さて、日本の監督がどんなプランで来るのかは分からないよ。怪我人がいて欠場する選手が誰なのかは知っているが、我々は万全の準備をしてきたし、相手がどんなラインナップで来ようが関係ない。スタンバイOKだ」
ファンやメディアに伝えたいことはないかと問われると、「ファンにあえて言うことはない。明日は6万人の大観衆で埋まると聞いている。いつものように心強い声援をもらえると信じているよ」と答えた。一方で、前節のUAE戦での敗北以降、批判的な風潮を煽っているメディアに対しては、「もうなんでも好きに書いてくれていいよ」と冗談交じりに話して笑いを誘い、「ただ明日、勝つのは我々だ」との言葉で締めた。
ハウサウィ主将は、「日本はこの大陸でナンバーワンのチームだ。しかし、我々はその相手から勝利を掴まなければならない」と宣言。続けて、「サウジアラビアのサッカー界に明るい道を照らすためには、我々がワールドカップに出なければいけないんだ。逃すことのできないチャンスで、きわめて重要なゲームになる」と、神妙に語った。
