試合後にアーセナルの指揮官アーセン・ヴェンゲルが、「中立的な立場で見れば、最高クラスの開幕戦だった」と振り返った通り、互いに昨シーズンの不振から捲土重来を期した両チームの激突は、まさしく“プレミアムフライデー”に相応しい一戦だった。
そんな2017-18シーズン最初の試合において私が注目していたのが、レスターの日本代表FW、岡崎慎司のプレーだった。
率直に言って、新シーズンの岡崎は苦戦を強いられると考えていた。というのも、8月4日にレスターがマンチェスター・シティからナイジェリア代表の逸材FWケレチ・イヘアナチョを2500万ポンド(約36億2500万円)で獲得していたからだ。
それだけの額を使って獲ったストライカーをレスターのような中堅クラブがベンチに置くことは考えにくく、また岡崎が昨シーズンのプレミアリーグで3ゴールと振るわなかったこともあり、彼は必然的にベンチへ追いやられると私は見ていた。
しかし、不思議なことに岡崎は開幕戦のピッチに先発メンバーの一員として立っていた。そして、早々に私の予想を良い意味で裏切った。
好スタートを切ったのは、本拠地で大勢のファンの後押しを受けるアーセナルだった。キックオフ直後の2分にアレクサンドル・ラカゼットがヘディングシュートで均衡を破ったのだ。
不穏な空気がレスターに立ち込めるなか、その空気を一変させたのは、他でもない岡崎だった。失点からわずか3分後、CKの流れから味方CBのハリー・マグワイアの折り返しに瞬時に反応し、ヘディングで押し込んでみせた。
チームにとっても、岡崎にとっても、重要なゴールで息を吹き返したレスターは、一時、ジェイミー・ヴァーディーの2ゴールで3-2とリードするも、82分と85分に立て続けに失点し、結局は3-4と逆転負けを喫した。
開幕戦黒星となってしまったものの、72分にピッチを去った岡崎だけを見れば、ポジティブな試合だったと言える。
彼は2ゴールを決めたヴァーディーとも好連携を見せ、自分の存在意義を証明してみせた。引き続き、エースストライカーの良いパフォーマンスを引き出せるのであれば、岡崎はチームにとって重要なメンバーでいられるはずだ。
