4月8日(現地時間)、リーガ・エスパニョーラ第31節でレアル・マドリーとの「マドリード・ダービー」を1-1で引き分けたアトレティコ・マドリー。84分に同点ゴールを決め、敵地での大一番でチームに勝点1をもたらしたのが、アントワーヌ・グリエーズマンだった。
スルーパスに抜け出し、左足でゴールネットを揺らしたフランス代表FWは、他にも鮮やかなオーバーヘッド(オフサイドだったが)や遠めからの強烈なシュートなど、印象的なプレーを幾つも披露した彼は、最も輝いた選手のひとりだった。
そんな彼には試合後、多くのメディアのターゲットとなった。それは、彼がこの試合で活躍したからというよりは、その去就が注目を集めているからだ。マンチェスター・ユナイテッド&シティ、バルセロナなどのクラブと並び、マドリーも移籍先として噂に挙がっている。
そのことについて質問を受けたグリエーズマンは、以下のように言葉を濁した。(『Express』より)
「僕はアトレティコの選手だし、このチームで快適にプレーできている。ファンのことを考えると、ここでマドリーについて喋るのは良くないと思う」
「アトレティコを出ていきたいかって? それに対してイエスとノー、どちらの回答をしたとしても、墓穴を掘りそうだから……。言えるのは、アトレティコからマドリーに移籍することは極めて稀なケースであり、実現はとても難しいということだ」
しかし、彼は以下のようにも語り、現時点では何も決まっていないことを強調している。
「でも将来、何が起こるかは誰にも分からない。アドバイザーのエリック・オルハツはどんなクラブからの電話も受けるし、それについて僕らはしっかり話し合う。いかなる可能性も排除はしないよ」
グリエーズマンが語ったように、アトレティコからマドリー(逆のパターンも含めて)への移籍は、決して多くない。特に近年は、両チームのあいだで「紳士協定」が結ばれているといわれ、多くの噂が浮上しながらも、実現することはほとんどなかった。
しかし先日、マドリーがアラベスのDFテオ・ヘルナンデスの獲得を狙っていることが判明。この19歳のU-19フランス代表SBはアトレティコが所有権を持つ選手(ユース上がり)であり、アラベスへはレンタルで所属して、今シーズン、目覚ましい活躍を披露している。
来シーズンはフィリペ・ルイスの後継者としてアトレティコに戻るとされているが、これをマドリーが2400万ユーロといわれる違約金(契約解除金)を払って強奪しようとしていると、『MARCA』が報じたのである。
これが現実のものとなれば、もはや「紳士協定」はなきものとなり、グリエーズマンのケースも実現の可能性は現在考えられるよりも上昇すると思われるが、もちろんアトレティコの対抗措置もあり得るだろう。果たして、移籍市場最大の注目銘柄の行方はどうなるか、目が離せない。