[W杯アジア最終予選] 日本 4-0 タイ/3月28日/埼玉
本田圭佑や岡崎慎司ら北京世代から、清武弘嗣、山口蛍といったロンドン五輪世代に主力が移り変わり始めたのも束の間、3月シリーズでは新たな勢力の台頭が目覚ましかった。
リオ五輪世代のエース久保が、UAE戦で1ゴール・1アシスト、タイ戦では1ゴール・2アシストと超絶パフォーマンスを披露。試合後、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は久保を「この2試合で質の高さ、決定力の高さを見せてくれた」と満足そうに語っている。
本田をベンチに追いやって代表のスタメンを張り、新エース候補に名乗りを挙げるほどの攻撃力を発揮するニュースターの快進撃を、ロンドン五輪世代の旗頭である清武はどのように見ているのか。
「裕也の印象っすか? (まさに)アタッカーって感じですね。裕也は常に裏を狙っていて、ガンガン前に行ってくれる。(僕が)トップ下で入った時にはパスは出しやすいだろうし、ボールの出しごたえがあります」
もっとも、後輩たちの“突き上げ”は日本代表の未来を考えれば歓迎すべき出来事だが、みすみす追い抜かせるつもりはない。
「裕也だったり、(原口)元気だったり、僕たちの下の世代が出てくるのは代表にとってもすごく良いこと。でも、自分たちも負けてられないという想いも当然あるし、そういう気持ちが日本を強くすると思う」
ワールドカップ出場を最優先するため、3月シリーズの清武は試合に出たい気持ちをグッと堪え、ベンチスタートの現実を受け入れた(UAE戦は出番なし、タイ戦は74分から途中出場)。それでも、やはり清武らロンドン五輪世代がチームを牽引しなければならないのは言うまでもない。清武自身もそれは十分理解しており、さらなる成長を心に誓う。
「試合に出たいという気持ちは常にある。それがなくなったら、ここ(日本代表)にいる意味がないですから。でも今は、日本代表が勝ってワールドカップに行くのが一番大きな目標。試合に出た時にいかにゴールに絡めるかを意識しながら、(チームに)リズムや変化を加えていくのか考えながらやりたいなと。僕も強くなっていきたい」
次の代表戦は3か月後。清武には今回の“刺激”を糧に、逞しさを増して戻ってきてほしい。
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
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