[選手権１回戦]山梨学院 １-０ 岡山学芸館／2016年12月31日／駒沢
 
　エース欠場の危機を救ったのは１年生ストライカーだった。
 
　山梨学院は、左くるぶしを痛めているエースの加藤拓己（２年）に代わり、藤原拓海（３年）と宮崎純真（１年）を２トップに起用。「加藤の高さがなくなった分、スピードのある藤原を入れてそこでなんとか勝機を見出せればいい」（安部一雄監督）というゲームプランでゲームに臨んだ。宮崎もサイドに流れてスピードで仕掛けようとするも、「緊張で手汗もすごくて、硬くなっていた」（宮崎）ため、思うようにゴールに迫れない。
 
　それでも、山梨学院は前半７本のシュートを浴びながら無失点で切り抜けると、後半立ち上がりにチャンスが訪れる。左サイドからの相田勇樹（３年）のロングスローインに対し、宮崎がバックヘッドを狙い、相手のオウンゴールを誘発。本人曰く「苦手」のヘディングシュートで、チームに待望の先制点をもたらした。
 
「相田くんのスローインが飛ぶことは分かっていたので、相手の隙を突いて、ボールに合わせに行きました。ごちゃとしていて混戦だったのであまり覚えていないんですけど、GKが触れないと分かった瞬間、嬉しかったです。ずっと守っていて、やっと１点入ったので、この１点を守り切れば勝ちだとみんなで喜びました」（宮崎）
 
　その後、宮崎は左足ふくらはぎを攣って後半26分にピッチを去ったが、後半40＋１分にはGK大野郁哉（３年）のファインセーブ、さらに４分後にはDF野田椋雅（３年）が間一髪のクリアでピンチを回避。チーム一丸となり、岡山学芸館を１-０で下した。
 
　11月にプリンスリーグ関東に出場し始めたばかりの宮崎は、安部監督の目から見てまだまだ遠慮があるという。「あの身体（身長172センチ）でボールがよく収まるし、前を向いて仕掛けられる選手。でも、もう少しCFとして自分のエゴを出していい」と要求する。それを伝え聞いた宮崎自身も、「もっとできたはず」と決して満足していない。
 
「選手権に出たくて、山梨学院に来ました。ここなら山梨を制して全国でも戦えると。今日はひとり抜いてから、シュートではなくパスを選んでしまったけど、もう少しドリブルで仕掛けたりできたはずだし、積極的に行けばもっとチャンスは増えると思います。次もチャンスをもらえればゴールを決めたい」
 
　エース加藤が故障の今、選手権での成功の行方は若き１年生ストライカーの双肩にかかっている。
 
取材・文：小田智史（サッカーダイジェスト編集部）

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