【蹴球日本を考える】「世界一のストライカー」が見せた他の誰とも違うフィニッシュの質

カテゴリ:国際大会

熊崎敬

2016年12月19日

終わってみればCR7のための大会に。

今大会2試合で4得点を奪ったC・ロナウド。エースの働きを示した。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 レアル・マドリーを世界一に導いたのは、クリスチアーノ・ロナウドだった。準決勝、決勝の2試合で4ゴール。鹿島も大健闘したが、終わってみたらCR7のための大会になった。
 
 この大会、ロナウドが決めた4ゴールは、いずれも鋭いスイングのシュートから生まれた。
 
 決勝での2、3点目が印象深い。
 ベンゼマの縦パスから最終ラインの裏に抜け出した2点目、GK曽ヶ端は果敢に前に出て間合いを詰めたが、身体を倒す間も与えず、脇の下を撃ち抜いた。
 
 3点目も左足。足下に飛んできたクロースのミドルを左足で止めて右足で持ち出し、左足で天井に突き刺した。
 
 GK曽ヶ端としては、いずれも跳ぼうとしたら、すでに抜かれていたという感覚ではなかったか。記者席から見ていても、「あっ」と思った次の瞬間、ネットが揺さぶられていたのだ。
 
 サッカーはゴールの数を競うスポーツ。どれだけ攻め込んでも、最終的にゴールラインを割った回数で勝負が決まる。DFを抜いても、最後のGKを打ち破るのがいちばん難しい。
 
 このフィニッシュが、ロナウドは他の誰とも違う。
 並の選手なら強いシュートを撃とうとして大きく振りかぶるため、DFやGKはシュートに備えることができる。だがロナウドの場合は、わずかな振りで矢のような一撃が飛んでくる。ロングレンジならともかく、至近距離から撃たれたら対応しようがない。
 
 ロナウドというと跨ぎ、切り返し、引き技など多彩なフェイントを組み合わせたドリブルが代名詞だが、ゴール前は実にシンプルだ。得意の形に手早く持ち込み、鋭い振りでゴールをストライクする。ここぞという場面での集中力は並外れている。
 
 奔放なドリブラーとして台頭したマンチェスター・ユナイテッド時代、私はロナウドにストライカーとしての輝かしい未来が待っているとは想像していなかった。それがストライカーとして大成したのは、レアルという世界でもっとも勝利が義務づけられたクラブに移籍したことが大きいだろう。
 
 思わぬ苦戦を強いられたレアルを救ったのは、「世界一のストライカー」だった。この大会、再三好守を見せてきたGK曽ヶ端も、ロナウドのシュートには成す術がなかった。
 
取材・文:熊崎 敬(スポーツライター)

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