［Jリーグチャンピオンシップ準決勝］川崎 ０-１ 鹿島／11月23日／等々力
 
　今季のリーグ戦では常に上位をキープし、覇権争いに加わってきた川崎だが、タイトルにはまたしても手が届かなかった。しかし、それでも指揮官はチームの戦いぶりに胸を張った。
 
「今日何が足りなかったかと言えば、１点が足りなかっただけ。今シーズンは一番悪くても３位だった。だから、もう今日の試合で緊張する人はいなかった。そこはすごい進歩だなと思う」
 
　風間監督が指揮を執った５年で、川崎は攻撃的で魅力溢れるサッカーを展開するチームというイメージを定着させた。そうしたなかで、サポーターとの関係も徐々に変わっていったと指揮官は振り返る。
「最初の頃、僕らはサポーターに対して『ありがとう』とは言えなかった。２年目の途中まではまったく商品として誇れるものがなかったから。ただ、そこからどんどん選手が伸びて注目が集まってきて、本当にサッカーが見たい人が集まってくれるようになった。その時に初めて我々は一体になれたと思う」
 
　すでに今季限りでの退団を表明している風間監督がクラブに残したもの。それを指揮官は、「考え方と技術」と表現した。このふたつがあってこそ、自信を持ち、強気でプレーすることが可能だと言う。
 
　風間監督は、「自分のなかにある考え方を柔らかくして、いろんな引き出しを使ってほしい」と選手たちに言葉を贈るとともに、「技術は絶対に裏切らない」という言葉に力を込めた。
 
　川崎に、Jリーグに革命を起こした指揮官の挑戦は、天皇杯でひと区切りを迎える。