クリスタル・パレス戦（プレミアリーグ12節）の39分、ノリートのリターンをそのまま右足で振り抜く。DFに当たってわずかにコースが変わったボールは、勢いを保ったままゴール左に飛び込んだ。
 
　貴重な先制ゴールを挙げたMFの下にはケビン・デ・ブルイネ、パブロ・サバレタ、ノリート、フェルナンジーニョと笑顔のチームメイトが次々と駆け寄り、大きな歓喜の輪が出来上がる。その輪の中心にいるのは、開幕直後にジョゼップ・グアルディオラ監督の構想から外されたトゥーレ・ヤヤだ。
 
　これだけでは終わらなかった。コナー・ウィッカムのゴールで追いつかれ、１-１で迎えた83分。今度はデ・ブルイネのCKに右足で合わせ、値千金の決勝弾を突き刺したのである。２-１で飾ったこの勝利の殊勲者は、間違いなくトゥーレ・ヤヤだ。
 
　チャンピオンズ・リーグの登録メンバーからトゥーレ・ヤヤを外したグアルディオラ監督の決断を、ディミトリ・セルク代理人が批判したのが８月下旬。指揮官の逆鱗に触れたこの一件以来、トゥーレ・ヤヤは戦力外となり、ペップが求めていた代理人の謝罪もなかったため、状況は一向に変わらなかった。
 
　11月になってまずはトゥーレ・ヤヤがフェイスブック上で謝罪し、さらにトゥーレ・ヤヤの説得によって代理人も態度を軟化させ、ようやく和解が成立。12節のクリスタル・パレス戦で約３か月ぶりに公式戦に復帰し、いきなりチームを勝利に導いてみせたのだから、さすがはワールドクラスのタレントである。
 
　粋だったのは、トゥーレ・ヤヤを称えたグアルディオラ監督の試合後のコメントだ。

「彼の活躍は、私の決断が生んだのではなく、彼の力が生み出したものだ」
 
　トゥーレ・ヤヤに笑顔が戻り、その仲間の復帰をチームメイトが心から歓迎している光景はどこか感動的ですらあり、マンチェスター・シティがさらに強固な集団になった事実を示しているようだった。
 
　覇権を争うライバルにとって、実に厄介なミッドフィルダーが戻ってきた。