あの「イスタンブールの奇跡」など、監督としてリバプールに数々のタイトルをもたらしたラファエル・ベニテス。プレミアリーグ史上初のスペイン人指揮官として道を切り拓き、今年10月にはパナシナイコスの監督として現場復帰を果たした名将が、自身の記憶を呼び起こし、異国での挑戦の秘話や教え子との思い出を語る。
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プレミアリーグには素晴らしい思い出がたくさんある。リバプールと契約を結んだときのことは、いまでも鮮明に覚えているよ。イングランドは雨が多く、気候に恵まれているバレンシアとはそれこそ別世界のようだった。私は新天地に行く前にはその国や街の文化や歴史、クラブについてファンや選手についてなど、あらゆることを予習していく。もちろん新しい環境にスムーズに適応するためだ。イングランドを良く知る友人に話を訊いたり、英語力のアップのためにビートルズの曲を聴いたりもした。決して簡単ではなかったが、新たな挑戦への楽しみのほうが大きかった。
当時のプレミアは、常勝軍団のマンチェスター・ユナイテッドに対し、圧倒的な資金力で大型補強を敢行し、急速に力をつけてきたチェルシーと、毎年安定してトップ3に入っていたアーセナルが挑み、覇権を争っていた。この3チームのなかで、対戦相手として最も印象深いのがチェルシーだ。2004-05シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)準決勝で彼らに勝って、それから一気にライバル関係が燃え上がり、アンフィールドとスタンフォード・ブリッジで何度も熱戦を繰り広げた。




















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