本田も犠牲に!? 「買い」には「売り」が不可欠のミランが現有戦力の換金に動く

カテゴリ:メガクラブ

弓削高志

2016年08月12日

今のミランの金庫には2000万ユーロすら入っていない。

ミランでの4年目を迎える本田。現地メディアは換金の対象になっていると報じている。写真:Alberto LINGRIA

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 ここまでは停滞していたミランの今夏補強に、ようやく動きが見えはじめてきた。
 
 8月5日、シルビオ・ベルルスコーニ名誉会長傘下の中核企業である投資会社『フィニンベスト』が、中国のベンチャーキャピタルであるSEIMC(Sino Europe Investiment Management Changxing)社とクラブ株式の99.93%を売却することで仮契約したと発表した。
 
 新オーナーとなる見込みのSEIMC社は、買収の条件として戦力補強のために向こう3年間で総額3億5000万ユーロ(約420億円)をクラブに投入すると確約。この大きな投資姿勢が、1986年から20年間に渡ってパトロンを務めてきたベルルスコーニにミラン売却を決断させたと言われている。
 
 しかし、補強戦略を一手に担うアドリアーノ・ガッリアーニ副会長は、今すぐこの巨額の資金を使えないジレンマに陥っている。
 
 中国の新経営陣は、前述の予算の内、今シーズン向けに1億ユーロ(約120億円)を拠出するとしている。ただし、彼らが実際に金庫の扉を開けるのは、年末にクラブ株式の譲渡が完全終了してから。つまり、ミランが実際に潤沢な資金を使えるのは、来年1月の冬の市場からということだ。
 
 来年からの経営シートに赤字を繰り越させないために、中国側は今夏の市場で新たな赤字を出すことを望んでいない。
 
 SEIMC社は、“クロージング”と呼ばれる株式譲渡完了を11月20日のミラノ・ダービーまでに前倒ししたい意向もあるようだが、いずれにせよ残り3週間を切った今夏メルカートで“チャイナ・マネー”に期待することはできないのだ。
 
 ミランがここまで今夏に獲得した新戦力は、昨シーズンのセリエB得点王であるFWジャンルカ・ラパドゥーラ(ペスカーラから)、左SBのレオネル・バンジョーニ(リーベルから)、そして同じく欧州初挑戦のCBグスタボ・ゴメス(ラヌースから)という3人だけ。チャンピオンズ・リーグ復帰を目指すうえで、お世辞にも十分とは言えない。
 
 ガッリアーニ副会長は現在、ヴィンチェンツォ・モンテッラ新監督が獲得を熱望しているファン・ギジェルモ・クアドラードのレンタル獲得に向けて動いている。
 
 しかし、チェルシーはレンタルではなく完全移籍を交渉の条件としている。金額は最低2000万ユーロ(約24億円)と見られるが、現在のミランの金庫には、移籍金高騰が顕著な今夏のメルカートでは「たかが」と言っても過言ではない2000万ユーロすらも入っていないのだ。当然、交渉は難航している。
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