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「まだどこからもオファーが来ていません」焦りは募るが、悲観すべきではない。興國10番がプロの兄からかけられた言葉

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2025年09月27日

インカーブのクロスで決勝点をアシスト

変えられるのは過去ではなく未来だけ。樺山は高校ラストイヤーをなりふり構わずに走り抜く。写真:安藤隆人

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 9月24日の下旬から10月1日にかけて大阪で行なわれるU-17日本代表候補の国内トレーニングキャンプ。発表されたメンバーに、興國高の3年生MF樺山文代志の名前はなかった。

 この発表の前日の23日、樺山はプリンスリーグ関西1部・第14節の東山戦に臨んでいた。前節の近江戦から中2日の連戦だったこともあり、樺山ら主軸数人はベンチスタートとなった。が、1-1で迎えた後半のスタートから一気に彼を含む4人が投入されると、押され気味だった前半と状況は一変した。

 一緒に途中出場した菅井琥白と共にダブルボランチを組んだ樺山は、スペースに巧みに入り込んでボールを引き出し、菅井とのパス交換やサイドへの展開、前線と両サイドへのサポートや追い越しで攻撃を活性化。リズムメーカーとして存在感を放った。

 そして2-2で迎えた87分にはルーズボールをヘッドで前に繋ぎ、そこから始まった左サイドのポゼッションのサポートに入ってバックパスを受けると、すぐに右足で前に持ち出してゴール前にインカーブのクロスを送り込む。

 このクロスに対して、ニアサイドに飛び込んだFW芋縄叶翔が頭で合わせてネットを揺らす。樺山のアシストによって決勝点がもたらされた。

「(近江戦と)メンバーは変わったんですけど、出た選手は責任を持ってやってくれたからこその前半は1-1のドローで折り返すことができたと思います。後半は途中から入った僕らが勝利まで流れを持ってこようと話して入りました」
 
 苦しい試合だった。後半に逆転するも追いつかれ、その直後にはPKを与えてしまった。GK岩瀬颯がビッグセーブを見せたことで、もう一度、興國に流れが戻り、そのチャンスを逃さなかった。あのアシストのシーン、樺山はこう振り返る。

「サイドからボールを受ける直前に中を確認したら、ペナルティボックス内に2人の選手が入ろうとしていたので、そこにゴールに向かうボールを蹴り込めば何かが起きると思った。芋縄がきちんと走り込んでくれていたし、自分的にもそれなりに良いボールが蹴ることができました」

 アシスト以外にも樺山は積極的にボールを受け、前半から鋭かった東山のハイプレスに対して、一歩も引くことなく、パスやドリブルで剥がして攻撃のリズムを作り続けた。

「もちろん奪われるリスクはありますが、そのリスクに対して怖がらずにプレーしろと六車(拓也)監督からは常に言われているので、積極的に前を向いて、奪われるギリギリぐらいのところを突くパスやドリブルを意識してやりました」

 こう語る樺山の表情はどこか堅かった。劇的な勝利を収め、かつ決勝点をアシストした選手とは思えないほどのものだった。その理由は明らかだった。

「もしかすると今が高校に入ってから一番苦しい時期だと思っています。高卒でプロになるという考えは一切変わっていませんが、まだどこからもオファーが来ていません。それにU-17日本代表でもU-17アジアカップ(4月)に出場できて、その直後のスペイン遠征(6月)はメンバーに入れたんですけど、前回のフランス遠征(8月)には入れずに、おそらく今回の国内合宿も正直厳しいのではないかと感じています」

 高校3年生の9月になって、入学時に思い描いていたプランとは異なる現実を突きつけられている。同年代の選手がJリーグで活躍したり、内定を得たニュースを見たりするたびに焦りが募り、さらにターゲットにしていたU-17W杯(11月)の出場も黄色信号が灯り始めている。

 この状況に苦しむのは理解できる。だが、それでもリーグ戦は来るし、来月からは高校最後の選手権予選が始まる。立ち止まっている暇は1秒もないし、それは本人も理解している。

「正直、この夏の期間は思い通りにいかないことばかりで、『何でやろ?』と思うことが多くて...。めちゃくちゃ辛くて、逃げ出したくなったこともありました。でも、それだけ自分の実力がまだまだなので、日々の練習で100%を出して成長していくしかない。一番はプリンス関西で活躍して、選手権予選で優勝に貢献していかないと、プロからオファーが来ることも、U-17日本代表の最終メンバーに入ることもないと思うので、ここで全試合、勝たせにいくつもりでやろうと思っています」
 
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