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川崎のACLE準優勝を支えたスタッフの“裏”体験記。クラブワールドカップに通じるアジアを勝ち抜くためのヒントとは

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2025年08月01日

“割り切り”も大事

ACLエリートで躍進を果たした川崎。その裏には様々な要因があった。(C)Getty Images

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 チェルシーが戴冠を果たす形で幕を閉じたアメリカでのクラブワールドカップ。真の“クラブの世界王者決定戦”を目指す形で今大会からフォーマットが大幅に変更となり、開催は4年に一度、出場クラブ数は32に拡大、多くの賞金が得られるなど大きく姿を変えた。

 その第1回大会は様々な課題も生じたが、ブラジルのフルミネンセやサウジアラビアのアル・ヒラルの奮闘も注目された。一方、浦和は残念ながらグループステージ3戦全敗で敗退。それでも今後、日本クラブが目指すべき舞台であり、2029年の次回大会に辿り着くには、現行の32チーム制が維持された場合、アジアに割り振られる4つの出場枠を手にする必要がある。

 そこで求められるのはこちらも2024-2025年大会から新フォーマットとなったACLエリート(ACLE)で王者になることだ。先日、優勝を果たしたアル・アハリ(サウジアラビア)が次回のクラブワールドカップの出場権を掴み、残りの3枠は25-26、26-27、27-28シーズンのACLE王者に与えられる予定である(もし優勝クラブが重複した場合はACLEの実績によってポイント加算されるアジアクラブランキング上位に出場枠が与えられる予定)。

 それだけにより重要度が増したACLEだが、新フォーマットとなった第1回大会の決勝でアル・アハリに惜しくも敗れたのが川崎フロンターレだった。そこで、前文が長くなったが、今回は備忘録の意味も込めて、川崎を裏で支えたスタッフや、主力選手たちの声をもとにACLEの戦い方を改めて探る。第1弾は、長年、チームマネージャーとしてクラブを支え、現在はチームダイレクターの肩書を持つ清水泰博氏に登場してもらった(第1回/全3回/本文内敬称略)。

――◆――◆――

「今はダイレクターとして一歩引いてチームに関わる立場になりましたが、それまでは長年、マネージャー、主務として遠征を含めて常にチームに帯同してサポートしてきました。今年は立場上、アウェーの試合には行っておらず、現場は小林(映登マネージャー)らに任せている形ですね。

 ただ今回のACLエリートに関してはそれまでの経験もありましたし、チームはシーズンを戦っていたので、僕らが別動隊のような形で準備を進めていました。現地の下見に行ったり、移動手段を整えたり、空港からの経路の確保など、様々な下準備ですね」

 2024年9月にスタートした第1回のACLエリートは、これまでの方式とは異なり、東西の各12チームがリーグステージを戦い(各クラブがホーム4試合、アウェー4試合を戦う)上位8チームが決勝トーナメントに進出。ラウンド16も東西に分かれて戦い(ホーム&アウェー形式)、準々決勝以降は一発勝負のトーナメント戦がサウジアラビアで集中開催される形なった。
 

準々決勝以降が行なわれたサウジアラビアでは選手たちがリラックスした姿も。臨機応変に準備ができたという。(C)J.LEAGUE

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 難易度が増した大会で川崎はどんな準備を行ない、どんなことに苦心してきたのか。その秘密を探るべく、清水の下を訪れたが、答えはやや予想と異なるものだった。

「苦労したこと? うーん、正直に言うとこれといったものがすぐに思い付かないんですよね。いや、特に集中開催となったサウジアラビアに行ったあとも、各々、担当者のなかで何かはあったはずです。でもパッと出てこないってことは、その場で臨機応変に対応できたということだと思います。これまで何度もACLに挑戦させてもらったこともあって、トラブルが起これば、その場でなんとかするしかないと考えていました。だから、それが上手く活きたのかなと」

 アジアの戦いと言えばトラブルの連続。今大会も急なレギュレーション変更に憤りを覚えた人もいるだろう。それでも文句を言っても始まらない。冷静に対応できたのは、これまでチームのために身を削るようにしてきた努力、経験の積み重ねがあったからこそだろう。

「かつては何も分からないから、この道路をバスで通ると車にぶつかられる可能性があるとか、ホテルの部屋中に電話がかかってくる可能性があるとか、出場経験のあるチームのマネージャーから情報をもらって、対処しようと心がけていました。バスの迎えが遅れたりすると意図的か、と疑心暗鬼になってしまうんですよね。でも、すべてが思い通りにいくことはまずない。だからこそ大事なのは、良い意味で“仕方ない”“ACLはそういうものだ”と割り切り、できる限りの準備をしておくことだと考えるようになりました」

 今大会の準々決勝以降は、他クラブとは異なり、川崎は過酷な中2日での戦いを強いられ、どの会場に行ってもアウェー。すべてが公平とは言えなかった。また、川崎が黄金時代を築いていた2021年、コロナ禍での大会ではラウンド16が敵地・蔚山での一発勝負となり、入国後には空港施設でPCR検査のため足止めを食い、食事もままならない状況に珍しく当時の鬼木達監督が怒りを見せる場面もあった。結果として川崎はPK戦の末に敗退。それこそ、悔しき経験は思い出せばキリがない。

 もっともそうした記憶こそがクラブとして良い意味での割り切りを生み、今回の準優勝につながったと考えれば感慨深いものもある。準備もスムーズに進んだという。
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