現在、バルセロナの選手たちは世界中に散らばって—―ラミネ・ヤマル（ブラジル）、ダニ・オルモ（イタリア）、エリク・ガルシア（アメリカ）、ペドリ（タンザニア）、バルデ（ドミニカ共和国）—―バランスを楽しんでいるが、そんな中でも片目はシウタ・エスポルティバ・ジョアン・ガンペルに注がれている。

　WhatsAppのグループチャット には「決まった！」というフレーズが繰り返され、一部の選手は火のマークの絵文字を添えてその喜びを表現している。彼らが話題にしているのは、ニコ・ウィリアムスの加入だ。

　一方、クラブのスポーツ部門は慎重な姿勢を崩していない。「合意に近づいているのは事実だ。しかしまだ細部の詰めが残っている。その中には簡単なものも難しいものもある」。

　昨夏、バルサはウィリアムスの獲得に動き、その執着ぶりはアスレティックを苛立たせた。それから１年が経ち、SD（スポーツディレクター）のデコと新シーズンの戦略面について話し合ったラポルタ会長は当初はウィリアムスを獲得候補から外す考えだった。

　代わりに左ウイングの補強のファーストターゲットに浮上したのがリバプールのルイス・ディアスだ。バルサのスポーツ部門は、コロンビア人選手の代理人から約6000万ユーロを提示すれば、リバプールはオファーを受け入れる可能性があると聞いていた。しかし、特使を派遣していざ扉をノックすると、財政難にあえぐクラブには乗り越えがたい現実の壁を突きつけられた。

「要求額は8000万ユーロだ。そこから譲歩する考えはない」というそのリバプール側の回答はすぐにラポルタの耳に入った。

「ジャン（ラポルタの愛称）、28歳のFWに8000万ユーロを支払うつもりはない。22歳のニコを6000万ユーロで獲得できる状況であればなおさらだ。６年契約を結ぶと仮定すると、減価償却費を年間約1000万ユーロに抑えることができる。一方、29歳を目前に控えるルイス・ディアスには４年を超える契約を提示することはできない」

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　ラポルタは状況を理解したが、ウィリアムスに“ポーズ”を要求した。その頃、スペイン代表はUEFAネーションズリーグのファイナルフォーに向けて合宿中だった。ウィリアムスは「バルサに来い」とヤマル、オルモ、ペドリらバルサ組から勧誘を受けた。

　彼は迷い始めた。代理人がバイエルンと交渉を続け、レアル・マドリーの動向にも注視していた中、バルサの名前が再び彼の頭の中で大きくなっていった。

「ニコはトッププレーヤーだ。バルサは彼を必要とし、彼もバルサを必要としている。ニコのサッカーはバルサでさらに磨かれるだろう。代表でのパフォーマンスがそれを証明している」と、ネーションズリーグをともに戦ったバルサの選手が強調する。