匿名だけに、罪の意識も薄い
日本では、サッカー選手に対するネットでの誹謗中傷行為は、エスカレートする一方だ。各クラブが警告を発するたび、一時的には沈静化しても、次にうごめき出した時には、騒ぎがより大きくなっている。もはや、打つ手はないのだろうか。
自分が応援するクラブ、もしくは選手を応援するあまり、憎さ100倍になるのだろう。ほとんど一方的に責め立てる。それが正義だと思っているだけに、手に負えない。客観的に見れば、「ゴロツキ同然」の言動にもかかわらず、それに触発されたように、周りも追随する。彼らはたいてい理解者のように振る舞いながら、言葉を変えて非難する。
いつしか、群衆化して暴力的な言動を展開するのだ。
サッカーに関心にない人にとって、それは正気の沙汰ではない。もっとも、“推し活”というのは、少なからずどれも似たような側面を常に持っている。かつて、これだけ罵詈雑言が世の中にあふれることはなかった。誰かを攻撃する。その正義に酔うようになった。自分も参画している気分になれるのだろう。SNS全盛の弊害だ。
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自分が応援するクラブ、もしくは選手を応援するあまり、憎さ100倍になるのだろう。ほとんど一方的に責め立てる。それが正義だと思っているだけに、手に負えない。客観的に見れば、「ゴロツキ同然」の言動にもかかわらず、それに触発されたように、周りも追随する。彼らはたいてい理解者のように振る舞いながら、言葉を変えて非難する。
いつしか、群衆化して暴力的な言動を展開するのだ。
サッカーに関心にない人にとって、それは正気の沙汰ではない。もっとも、“推し活”というのは、少なからずどれも似たような側面を常に持っている。かつて、これだけ罵詈雑言が世の中にあふれることはなかった。誰かを攻撃する。その正義に酔うようになった。自分も参画している気分になれるのだろう。SNS全盛の弊害だ。
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25年ほど前まで、誰かが誰かに意見するのは慎重さが求められた。なぜなら、自分ができないことをしている人を批判するのは、自身にそれだけの実力や実績も求められたからである。
「何もやったことがないくせに」
そう鼻で笑われて終わりだった。
しかし、今や何も成し遂げていない人間でも、「私はこう思う」で世の中を捻じ曲げられるようになった。自由主義、個人主義、人それぞれ、という発想を旗印に、それぞれが他者を攻撃する。そこには、見識も、寛容さも、リスペクトも、一切ない。独善的で、無知で、無責任のオンパレードだ。
他人のことをどうこう言う資格があるのか。そうした意識は吹き飛ばされてしまった。
「俺はこう思う。だから、絶対にお前は悪い」
その根っこは、恐ろしいほど暗い闇である。
日本のサッカー誌『ワールドサッカーダイジェスト』に25年以上にわたって何年も寄稿し、来日したこともあるスペイン人記者ヘスス・スアレスが、20年ほど前、予言的にこう言っていた。
「日本人はとても行儀がよく、親切だが、本心は隠している。その暗黙の了解の中で、コミュニケーションが成立しているのだろう。だから、SNSの匿名性に脆弱性があるかもしれない。今まで押し隠していた“邪悪さ”を他人にぶつける。残念ながら、サッカーは充満する不安や怒りが投影されやすい。そうならないことを祈るよ」
誰もが、不当な誹謗中傷を受けることがある。そういう野蛮な輩は、相手の正しい姿勢さえも茶化す。匿名だけに、罪の意識も薄く、堂々巡りだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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「何もやったことがないくせに」
そう鼻で笑われて終わりだった。
しかし、今や何も成し遂げていない人間でも、「私はこう思う」で世の中を捻じ曲げられるようになった。自由主義、個人主義、人それぞれ、という発想を旗印に、それぞれが他者を攻撃する。そこには、見識も、寛容さも、リスペクトも、一切ない。独善的で、無知で、無責任のオンパレードだ。
他人のことをどうこう言う資格があるのか。そうした意識は吹き飛ばされてしまった。
「俺はこう思う。だから、絶対にお前は悪い」
その根っこは、恐ろしいほど暗い闇である。
日本のサッカー誌『ワールドサッカーダイジェスト』に25年以上にわたって何年も寄稿し、来日したこともあるスペイン人記者ヘスス・スアレスが、20年ほど前、予言的にこう言っていた。
「日本人はとても行儀がよく、親切だが、本心は隠している。その暗黙の了解の中で、コミュニケーションが成立しているのだろう。だから、SNSの匿名性に脆弱性があるかもしれない。今まで押し隠していた“邪悪さ”を他人にぶつける。残念ながら、サッカーは充満する不安や怒りが投影されやすい。そうならないことを祈るよ」
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【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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