「できないイコール伸びしろ」というポジティブな思考
人は何歳になっても成長できる。毎年、そう感じさせてくれるのが、湘南ベルマーレで在籍10年目を迎える大野和成だ。
今年8月に36歳となるチーム最年長の大野は、守備的なイメージの強い選手だと言えるだろう。実際、キャリアを通してCBを主戦場とし、跳躍力と身体を張ったプレーを武器に戦ってきた。パスやドリブルなどテクニカルな印象は薄く、本人も自身を「上手い選手ではない」と評価している。
ただ、近年のサッカー界では後ろの選手にも足もとの技術が求められており、湘南も例外ではない。浮嶋敏監督が指揮を執った2020年頃からCBが頻繁にビルドアップに関わる戦術を志向してきたなかで、今季は鈴木淳之介や鈴木雄斗ら、攻撃面に特長のある選手が起用される機会が増えている。
器用さを売りにしていない選手たちにとって風向きは厳しい。しかし、大野は腐らずに努力を続けてきた。結果、守備性能はそのままに、攻撃面が年々バージョンアップ。現代的なスタイルに適応した。
山口智監督も「年齢を踏まえて、今できることを確実にこなしつつ、プレーの幅を広げていこうとする姿勢もすごく感じます」と、大野の姿勢を賞賛する。
【動画】大野和成の絶妙なスルーパスから福田翔生がゴール!!
今年8月に36歳となるチーム最年長の大野は、守備的なイメージの強い選手だと言えるだろう。実際、キャリアを通してCBを主戦場とし、跳躍力と身体を張ったプレーを武器に戦ってきた。パスやドリブルなどテクニカルな印象は薄く、本人も自身を「上手い選手ではない」と評価している。
ただ、近年のサッカー界では後ろの選手にも足もとの技術が求められており、湘南も例外ではない。浮嶋敏監督が指揮を執った2020年頃からCBが頻繁にビルドアップに関わる戦術を志向してきたなかで、今季は鈴木淳之介や鈴木雄斗ら、攻撃面に特長のある選手が起用される機会が増えている。
器用さを売りにしていない選手たちにとって風向きは厳しい。しかし、大野は腐らずに努力を続けてきた。結果、守備性能はそのままに、攻撃面が年々バージョンアップ。現代的なスタイルに適応した。
山口智監督も「年齢を踏まえて、今できることを確実にこなしつつ、プレーの幅を広げていこうとする姿勢もすごく感じます」と、大野の姿勢を賞賛する。
【動画】大野和成の絶妙なスルーパスから福田翔生がゴール!!
先日、大野の進化が数字となって表われたシーンがあった。
6月14日に行なわれたJ1第20節のFC町田ゼルビア戦(1-2)の62分。3バックの左に入った大野は、リベロの鈴木淳からシャドーの小野瀬康介に縦パスが通った時、立ち位置を上げて小野瀬からの落としに対し、ワンタッチで敵の最終ラインの背後にスルーパスを供給。反応した福田翔生が見事に決めきった。
以前の背番号8では想像できないような、絶妙なパスだった。このプレーを大野に振り返ってもらった。
「最後のパスはでき過ぎです(笑)。でも、康介から落としをもらった瞬間、翔生が見えていました。ジュン(鈴木淳)がボールを持った時点で“康介に当ててくれ”と思っていたし、康介の落としへの反応も早かった。判断や準備の部分は、上がってきているのかなと」
町田戦のアシストを含め、足もとの安定感は確実に高まっている。一般的に“ベテラン”と呼ばれる年齢に差しかかっているなかで、自身のプレーを変えるのは簡単ではないはずだが、大野はなぜ上達し続けられるのか。本人は次のように分析する。
「俺はこれしかできない、と決めつけてしまえば、生き残っていけないと思う。監督やチームによって戦い方も変わりますから。そのなかで、自分の引き出しが増えればいいと思って、日々、取り組んでいます。足もとの技術は自分の足りない部分であり、一番の伸びしろだと思っていたので。
ジュンをはじめ、同じポジションの選手から“こんなプレーがあるのか”という発見は多いし、敵や味方から学んで、自分のものにしたい気持ちは強い。そのなかで、自分の良さは消えないように。チームの勝利のために監督から求められることをできるよう、いろいろ考えながらやっています」
チームの勝利のために、常に様々なものから学びを得て、吸収し続ける。「できないイコール伸びしろ」(大野)というポジティブな思考があるからこそ、大野は長年、J1の舞台で戦ってこられたのだろう。
変化を恐れない大野の姿勢は、勇ましく、堂々としていて、魅力的だ。
取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)
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6月14日に行なわれたJ1第20節のFC町田ゼルビア戦(1-2)の62分。3バックの左に入った大野は、リベロの鈴木淳からシャドーの小野瀬康介に縦パスが通った時、立ち位置を上げて小野瀬からの落としに対し、ワンタッチで敵の最終ラインの背後にスルーパスを供給。反応した福田翔生が見事に決めきった。
以前の背番号8では想像できないような、絶妙なパスだった。このプレーを大野に振り返ってもらった。
「最後のパスはでき過ぎです(笑)。でも、康介から落としをもらった瞬間、翔生が見えていました。ジュン(鈴木淳)がボールを持った時点で“康介に当ててくれ”と思っていたし、康介の落としへの反応も早かった。判断や準備の部分は、上がってきているのかなと」
町田戦のアシストを含め、足もとの安定感は確実に高まっている。一般的に“ベテラン”と呼ばれる年齢に差しかかっているなかで、自身のプレーを変えるのは簡単ではないはずだが、大野はなぜ上達し続けられるのか。本人は次のように分析する。
「俺はこれしかできない、と決めつけてしまえば、生き残っていけないと思う。監督やチームによって戦い方も変わりますから。そのなかで、自分の引き出しが増えればいいと思って、日々、取り組んでいます。足もとの技術は自分の足りない部分であり、一番の伸びしろだと思っていたので。
ジュンをはじめ、同じポジションの選手から“こんなプレーがあるのか”という発見は多いし、敵や味方から学んで、自分のものにしたい気持ちは強い。そのなかで、自分の良さは消えないように。チームの勝利のために監督から求められることをできるよう、いろいろ考えながらやっています」
チームの勝利のために、常に様々なものから学びを得て、吸収し続ける。「できないイコール伸びしろ」(大野)というポジティブな思考があるからこそ、大野は長年、J1の舞台で戦ってこられたのだろう。
変化を恐れない大野の姿勢は、勇ましく、堂々としていて、魅力的だ。
取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)
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