［W杯最終予選］日本 ０－１ オーストラリア／６月５日／パーススタジアム

　痛恨の失点シーンだった。後半もアディショナルタイムになろうかという90分、ホームのオーストラリアにとって、この試合で５本目となるシュートが、W杯本大会に大きく前進させる一撃となったが、日本側からすると無様な失点と言い切ってもいい。

　失点のきっかけを作ったのはこの日、キャプテンマークを巻いた鎌田大地のパスミスだった。３バック左の瀬古歩夢から縦パスを引き出した鎌田は、相手のミッチェル・デュークとダニエル・アルザニが左右から挟んできたところで、トリッキーなボールタッチで２人のマークを手前に外すと、右足アウトで前の鈴木唯人に通そうとしたグラウンダーのパスが、ボランチのエイデン・オニールに引っ掛けられてしまった。

　このパスミス自体も良くないが、より大きな問題はそこから、日本らしからぬ守備対応でオーストラリアに崩し切られてしまったことだ。

　オニールは縦のスペースにそのままドリブルで突き進む。そこにボールを手前でカットされた鈴木唯と相手のインターセプトを招いた鎌田、そしてボランチの藤田譲瑠チマまでボールのところに寄ってくるが、それが結果的にオーストラリアの決定的なプレースペースを用意してしまった。

　縦のドリブルからオニールが右側に流すと、反応したデュークが瀬古に対応されながらも粘り強くキープして、右外に流れて縦に走るアルザニを使おうとする。そこは鎌田が奪いにくるが、デュークが粘り強く繋ぐ。ボールを受けたアルザ二に今度は左ウイングバックの中村敬斗とリカバーした藤田で２対１を作り、藤田が突いたボールは右のタッチラインを出た。

　オーストラリアはここぞとばかりに全体を押し上げると、右ウイングバックに途中投入されていたアルビレックス新潟所属のジェイソン・ゲリアを起点にアルザ二、ゲリア、３バックの右から上がってきたアレッサンドロ・チルカーティとパスをつなぎ、ボランチのオニールにワンクッション入れる間に、チルカーティがインナーラップ。日本の守備が同サイドに引っ張られると、リターンを受けたゲリアがシャドーのライリー・マクグリーに斜めのパスを通す。
 

　瀬古が背後からタイトに付くが、マクグリーはくるりと時計回りに旋回しながら縦に突破した。完全にニアゾーンを取られた状況で、３バック中央の高井幸大、右の関根大輝、さらには右ウイングバックから後ろに引いていた平河悠も引っ張られたことで、ファーサイドのアジズ・ベヒッチがフリーになった。

　そこまで平河が攻撃面での仕事をさせていなかったが、高井がマクグリーに置き去りにされた瀬古をカバーしたことで、関根と平河が連動しなければならず、結果的にベヒッチが空いてしまった。

　高井の決死のスライディングも虚しく、ゴール前に出されたボールはベヒッチが走るコースからややマイナスにズレたが、34歳のベテランは厳しい体勢から利き足ではない右足を目一杯振り抜き、ゴール右隅にシュートを突き刺した。

　GK谷晃生の反応そのものは素早かったが、やはり日本から見て左側を破られたことで、ニアを消しに行ったところから、中央にポジションを取り直す動きと反対のコースに打たれたことで、一瞬対応が遅れてしまった。

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