［北中米W杯アジア最終予選］日本 ０－１オーストラリア／６月５日／パース・スタジアム

　勝つ気のない相手に負けてしまった。いくらワールドカップ出場を決め、若手をテストした試合とはいえ、このゲーム運びは許されない。

　日本代表は６月５日に敵地パースで開催された北中米ワールドカップ・アジア最終予選の第９節で、オーストラリアと対戦。０―１で敗れた。

　右に平河悠、左に俵積田晃太と両ウイングバックに初招集組を抜擢するなど、驚きの11人を送り出した日本は、圧倒的にボールを支配したものの、５バックでベタ引きする相手を崩せない。

　相手が後半に入っても超守備的な戦いを続けるなか、チャンスを作り出したものの、決めきれず、逆に90分に失点。まさかの最終予選初黒星となった。

　オーストラリアは前節終了時点で、３位のサウジアラビアとは勝点３差で、得失点差では９点もリードしていた。最終節に敵地での直接対決が控えているなか、日本と引き分ければ、勝点でリードしたまま最終節を迎えられ、仮に敗れても大敗でなければ、サウジがバーレーンに大勝しない限り、勝点で並ばれても得失点差ではリードしたまま決戦に臨める（最終節はドローでOK）。

　つまり、オーストラリアは日本に勝つことよりも、大敗しないことが重要だった。おそらく、日本が後方でボールを回し続けても、オーストラリアはボールを奪いに来なかっただろう。

　そんな相手に、ワンチャンスをモノにされて敗れたのだから、試合運びが下手だったとの誹りは免れない。

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　これで、10月のホームでのオーストラリア戦（１－１）、前節のサウジアラビア戦（０－０）に続いて、アジアの強豪の５バック戦術に苦戦した。

　ある程度のチームにベタ引きされると、どんな強豪でも焼くとはいえ、そろそろ打開策を見出さないことには、W杯で勝ち上がれない。

　南野拓実のように、狭いエリアでプレーできる鈴木唯人は今後もいいオプションになりそうだし、相手が引いているのだから、３バックの両サイドが、ウイングバックを追い越していく動きももっと必要だろう。

　W杯でポット２に入れば、FIFAランキングで下のチームと当たる可能性は高い。“ベタ引き恐怖症”を抱えたままでは、ワールドカップ優勝など夢物語だ。

取材・文●江國森（サッカーダイジェストWeb編集部／現地特派）

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