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森保一監督が提示した豪胆な度胸試しは、「最強」を炙り出すプロセスとして必要不可欠。マンネリを脱却し競争力を高め新境地へ

カテゴリ:連載・コラム

加部 究

2025年06月06日

鎌田大地は攻守に出色の牽引ぶり

フレッシュな面々を先発させた森保監督。敗れはしたが即席のメンバーで攻守にゲームをコントロールできたという事実の方が重要だ。(C)SOCCER DIGEST

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[W杯最終予選]日本 0-1 オーストラリア/6月5日/パーススタジアム

 画竜点睛を欠く結果になったが、森保一監督が提示した豪胆な度胸試しは、間違いなく「最強」を炙り出すプロセスとして必要不可欠だった。出場した選手たちは、代表歴は浅くても濃密な日常を送っていることを逞しく体現し証明した。

 ブレンビーから堂安律の後釜としてフライブルクへと出世した鈴木唯人には、旬な選手らしく自信が漲り、平河悠や大橋祐紀のプレーからはイングランドのタフな攻防の中で生き残る術が滲み出ていた。

 ドイツ屈指のハードワーカーの佐野海舟は、遠藤航の系譜を引き継ぐように水際立ったボール奪取力とシンプルで的確な繋ぎを淡々と披露し、序盤はなかなか絡めなかった藤田譲瑠チマも後方でボールを引き取りアタッキングゾーンまで顔を出す特長を発揮していった。

 最終ラインは、一貫してほぼストレスなくボールを扱える状態だったので試される局面は皆無に近かったが、両脇の町田浩樹と関根大輝は積極的に攻撃をサポート。フランスカップ決勝では大苦戦を強いられた関根は、心身ともにリカバリーの意味合いも込めての抜擢だったのかもしれないが、ポテンシャルの片鱗は示した。

 そしてラスト1分までは、キャプテンマークをつけた鎌田大地が攻守に出色の牽引ぶりを見せた。卓越した視野、読み、判断で、攻撃面ではコンマ数秒の無駄を短縮して違いを創出し、守備面での危機察知も群を抜いていたからオーストラリアは何度も自陣で攻撃の芽を摘まれた。
 
 だがそれだけに、89分過ぎにアウトサイドで鈴木に置きに行き、インターセプトされた緩いパスが痛恨だった。鎌田は決定力も合わせて、ブンデスリーガでは随一の攻撃的タレントだった。だがラツィオでもクリスタル・パレスでも不当なまでに序列を下げられたのは、こうして天才肌が見せるふとした隙を、シビアな戦場を舞台とする指揮官が嫌うからかもしれない。

 結局、このたった1本だけの、ほんのわずかだけ細やかな注意が欠けた緩めのパスが、オーストラリアに最後の、しかも唯一の攻撃機会を与えた。かつてJリーグで活躍した後、シドニーFCの監督を務めたピエール・リトバルスキーが語っていた。

「もともとオーストラリア人には、チャンピオンを目ざすメンタリティが宿っている」

 ラストチャンスにオーストラリアの選手たちは、別人のような集中力で奇跡のゴールを生み出した。インターセプトからスローインに繋げたオーストラリアは、この間に全体が押し上げてゴール前に人を割く。確かにスローインからの流れで日本側のプレッシャーは後手に回ったが、逆にオーストラリアの複数の選手たちが連ねたシンプルで的を射た判断が、日本の守備網をすり抜けたとも言える。

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