「私は34人のブラジル人選手を指導してきた」
「本当にブラジルに来たぞ!」
5月24日にラ・リーガ最終節でレアル・マドリーを指揮した後、大西洋を渡って翌25日にリオデジャネイロの空港に降り立ったカルロ・アンチェロッティの姿を確認したブラジル国民の、それが率直な感想だった。
無理もない。2022年ワールドカップ後にチッチ監督が退任以降、CBF(ブラジルサッカー連盟)は2年半にわたって熱烈なラブコールを送り続けてきた、ことごとく袖にされてきたのだ。今年に入って就任が確実視された時期もあったが、交渉は難航。最終的にR・マドリーで無冠に終わり、退任が確実となったことで、ようやく契約がまとまった。
経験豊かな65歳のイタリア人監督は、26日午後にリオ市内のホテルで正式な監督就任会見に臨んだ。
「セレソン(ブラジル代表)は、世界で最も大きな成功を収めてきた代表チーム。その監督を務めるのは、私にとって夢だった」
笑顔で語ると、こう続けた。
「これまで34人のブラジル人選手を指導してきたが、いずれも素晴らしい男たちだった」
とこれまでの縁に言及。さらに、
「まずは2026年ワールドカップの南米予選を突破し、本大会で頂点を目指す」
と力強く抱負を述べた。
さらにその場で6月上旬に行なわれる26年ワールドカップ南米予選2試合(5日のエクアドル戦、10日のパラグアイ戦)に向けた招集メンバーを発表した(下表参照)。
目を引いたのは、マンチェスター・ユナイテッドのMFカゼミーロの復帰だ。「経験豊富でリーダーシップがある」と高く評価し、1年7か月ぶりに招集。さらにGKアリソン(リバプール)、CBマルキーニョス(パリSG)、FWヴィニシウス(R・マドリー)といった主力も順当に名を連ねた。
その一方で、故障から復帰途上にあるFWネイマール(サントス)は見送り。24-25シーズンのR・マドリーで不調だったロドリゴもリストから外れた。
【動画】カナリア色の帽子が似合うアンチェロッティのリオ到着直後
5月24日にラ・リーガ最終節でレアル・マドリーを指揮した後、大西洋を渡って翌25日にリオデジャネイロの空港に降り立ったカルロ・アンチェロッティの姿を確認したブラジル国民の、それが率直な感想だった。
無理もない。2022年ワールドカップ後にチッチ監督が退任以降、CBF(ブラジルサッカー連盟)は2年半にわたって熱烈なラブコールを送り続けてきた、ことごとく袖にされてきたのだ。今年に入って就任が確実視された時期もあったが、交渉は難航。最終的にR・マドリーで無冠に終わり、退任が確実となったことで、ようやく契約がまとまった。
経験豊かな65歳のイタリア人監督は、26日午後にリオ市内のホテルで正式な監督就任会見に臨んだ。
「セレソン(ブラジル代表)は、世界で最も大きな成功を収めてきた代表チーム。その監督を務めるのは、私にとって夢だった」
笑顔で語ると、こう続けた。
「これまで34人のブラジル人選手を指導してきたが、いずれも素晴らしい男たちだった」
とこれまでの縁に言及。さらに、
「まずは2026年ワールドカップの南米予選を突破し、本大会で頂点を目指す」
と力強く抱負を述べた。
さらにその場で6月上旬に行なわれる26年ワールドカップ南米予選2試合(5日のエクアドル戦、10日のパラグアイ戦)に向けた招集メンバーを発表した(下表参照)。
目を引いたのは、マンチェスター・ユナイテッドのMFカゼミーロの復帰だ。「経験豊富でリーダーシップがある」と高く評価し、1年7か月ぶりに招集。さらにGKアリソン(リバプール)、CBマルキーニョス(パリSG)、FWヴィニシウス(R・マドリー)といった主力も順当に名を連ねた。
その一方で、故障から復帰途上にあるFWネイマール(サントス)は見送り。24-25シーズンのR・マドリーで不調だったロドリゴもリストから外れた。
【動画】カナリア色の帽子が似合うアンチェロッティのリオ到着直後
現在、セレソンは未曽有のピンチを迎えている。3月に宿敵アルゼンチンとの大一番で1-4の惨敗を喫した南米予選は、参加10か国中4位。ワールドカップまで1年余りというこの時期に、大きな立て直しを迫られている。
そうした危機のさなかで、欧州5大リーグを指揮官としてすべて制し、チャンピオンズリーグでも通算5度の優勝を誇る名将を迎え入れた意義は大きい。一部に「外国人監督は馴染まない」といった反発もあったが、総じて地元メディアも国民も、その手腕に大きな期待を寄せている。
6月に対戦するエクアドルは、南米予選でアルゼンチンに次ぐ2位と好調を維持していて、厳しい相手となる。続くパラグアイもセレソンと同勝点の5位につける難敵だ。どちらの試合も、いまのセレソンにとっては試金石となるのは間違いない。
アンチェロッティにとって、そしてセレソンにとって、スリリングな日々が始まる。
■6月のW杯南米予選2試合に向けたブラジル代表メンバー
(GK)
アリソン・ベッカー(リバプール=ENG/32歳)
ベント(アル・ナスル=KSA/25歳)
ウーゴ・ソウザ(コリンチャンス/26歳)
(DF)
アレックス・サンドロ(フラメンゴ/34歳)
ウェズレイ(フラメンゴ/21歳)
レオ・オルチス(フラメンゴ/29歳)
ダニーロ(フラメンゴ/33歳)
アレッシャンドロ(リール=FRA/25歳)
ヴァンデルソン(モナコ=FRA/23歳)
ルーカス・ベラウド(パリSG=FRA/21歳)
マルキーニョス(パリSG=FRA/31歳)
カルロス・アウグスト(インテル=ITA/26歳)
(MF)
ジェルソン(フラメンゴ/28歳)
アンドレイ・サントス(ストラスブール=FRA/21歳)
エデルソン(アタランタ=ITA/25歳)
アンドレアス・ペレイラ(フルアム=ENG/29歳)
ブルーノ・ギマランイス(ニューカッスル=ENG/27歳)
カゼミーロ(マンチェスター・U=ENG/33歳)
(FW)
ヴィニシウス・ジュニオール(R・マドリー=SPA/24歳)
ラフィーニャ(バルセロナ=SPA/28歳)
アントニー(ベティス=SPA/25歳)
ガブリエウ・マルチネッリ(アーセナル=ENG/23歳)
マテウス・クーニャ(ウォルバーハンプトン=ENG/26歳)
リシャルリソン(トッテナム=ENG/28歳)
エステバン(パルメイラス/18歳)
文●沢田啓明
【著者プロフィール】
1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。
【記事】「がっかりしたよ」欧州名門主将が日本人エースの退団に本音「僕らの主役だったのに…」
【記事】「完璧な補強」名将が熱望!スペイン強豪が日本代表アタッカーの獲得に本腰と現地報道「欧州で最も輝かしい若手の一人だ」
そうした危機のさなかで、欧州5大リーグを指揮官としてすべて制し、チャンピオンズリーグでも通算5度の優勝を誇る名将を迎え入れた意義は大きい。一部に「外国人監督は馴染まない」といった反発もあったが、総じて地元メディアも国民も、その手腕に大きな期待を寄せている。
6月に対戦するエクアドルは、南米予選でアルゼンチンに次ぐ2位と好調を維持していて、厳しい相手となる。続くパラグアイもセレソンと同勝点の5位につける難敵だ。どちらの試合も、いまのセレソンにとっては試金石となるのは間違いない。
アンチェロッティにとって、そしてセレソンにとって、スリリングな日々が始まる。
■6月のW杯南米予選2試合に向けたブラジル代表メンバー
(GK)
アリソン・ベッカー(リバプール=ENG/32歳)
ベント(アル・ナスル=KSA/25歳)
ウーゴ・ソウザ(コリンチャンス/26歳)
(DF)
アレックス・サンドロ(フラメンゴ/34歳)
ウェズレイ(フラメンゴ/21歳)
レオ・オルチス(フラメンゴ/29歳)
ダニーロ(フラメンゴ/33歳)
アレッシャンドロ(リール=FRA/25歳)
ヴァンデルソン(モナコ=FRA/23歳)
ルーカス・ベラウド(パリSG=FRA/21歳)
マルキーニョス(パリSG=FRA/31歳)
カルロス・アウグスト(インテル=ITA/26歳)
(MF)
ジェルソン(フラメンゴ/28歳)
アンドレイ・サントス(ストラスブール=FRA/21歳)
エデルソン(アタランタ=ITA/25歳)
アンドレアス・ペレイラ(フルアム=ENG/29歳)
ブルーノ・ギマランイス(ニューカッスル=ENG/27歳)
カゼミーロ(マンチェスター・U=ENG/33歳)
(FW)
ヴィニシウス・ジュニオール(R・マドリー=SPA/24歳)
ラフィーニャ(バルセロナ=SPA/28歳)
アントニー(ベティス=SPA/25歳)
ガブリエウ・マルチネッリ(アーセナル=ENG/23歳)
マテウス・クーニャ(ウォルバーハンプトン=ENG/26歳)
リシャルリソン(トッテナム=ENG/28歳)
エステバン(パルメイラス/18歳)
文●沢田啓明
【著者プロフィール】
1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。
【記事】「がっかりしたよ」欧州名門主将が日本人エースの退団に本音「僕らの主役だったのに…」
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