前半ですべきことしてリード。後半は流しながら要所を締める。
3-0で危険な挑戦者スロバキアを圧倒。ドイツの完勝と言って良い試合だった。
2年前のブラジル・ワールドカップから続くドイツの強さは、勤勉で肉体的資質に恵まれたドイツ人が、スペインのように器用にパスを繋ぎ、攻撃的なサッカーをするところにある。
彼らは、スペイン(バルセロナ)的サッカーをドイツ風にアレンジして、さらに完成度を高めている。
敵のペナルティエリアにSBが走り込み、そこに精度の高いスルーパスが次々と繰り出される。こうしたシーンは、まさにスペインのサッカーを見ているかのようだ。
新たなもののエッセンスを導入すると、往々にして本来持っていた良いところを失ってしまうもの。だが、ドイツは彼らが本来持っている素晴らしい伝統も忘れてはいない。
そのひとつが、勤勉さだ。
この試合は序盤のボアテングの一撃で、ほぼ勝負が決まってしまった感があるが、それでもドイツの選手たちはさぼらなかった。
流すところは流すが、行くべきところはしっかり行く。派手さに寄りかからず、やるべきことをやる。勝負が決まった後も、手を抜かない。
こうした勤勉さは、やはり国民性によるところが大きいだろう。
もうひとつの伝統が、駆け引きの上手さだ。
ひるんだ敵にさらに圧力をかけ、反撃に出る敵の鼻っ柱を折る。ドイツはこうした流れを断ち切るプレーが上手いが、スロバキア戦でもそれが見られた。
43分、ドラクスラーの巧みなドリブルからゴメスのゴールが生まれる。この2点目でスタジアムは、ほぼ勝負がついたという雰囲気になった。このまま、ハーフタイムを迎えれば良い。
だがドイツは、ここから一気にギアを上げた。休むどころか運動量を上げ、前から果敢にスロバキアに圧力をかけたのだ。
しかも、ハイプレスの先陣を切ったのは、ゴールを決めたゴメス。決定的な2点目で意気消沈したスロバキアを、一気に押し潰そうとした。こういうことができるのが、ドイツの強さである。
前半にやれることをしっかりやって勝負を決め、後半は流しながらも要所を締める。こうしてドイツは、完璧に近いかたちで勝利を手に入れた。
冷や汗をかいたフランス、死闘を演じる羽目になったポルトガルとは対照的な、余力を残しての勝ち上がり。やはり、終わってみればドイツが優勝、ということになるのだろうか。
現地取材・文:熊崎 敬
2年前のブラジル・ワールドカップから続くドイツの強さは、勤勉で肉体的資質に恵まれたドイツ人が、スペインのように器用にパスを繋ぎ、攻撃的なサッカーをするところにある。
彼らは、スペイン(バルセロナ)的サッカーをドイツ風にアレンジして、さらに完成度を高めている。
敵のペナルティエリアにSBが走り込み、そこに精度の高いスルーパスが次々と繰り出される。こうしたシーンは、まさにスペインのサッカーを見ているかのようだ。
新たなもののエッセンスを導入すると、往々にして本来持っていた良いところを失ってしまうもの。だが、ドイツは彼らが本来持っている素晴らしい伝統も忘れてはいない。
そのひとつが、勤勉さだ。
この試合は序盤のボアテングの一撃で、ほぼ勝負が決まってしまった感があるが、それでもドイツの選手たちはさぼらなかった。
流すところは流すが、行くべきところはしっかり行く。派手さに寄りかからず、やるべきことをやる。勝負が決まった後も、手を抜かない。
こうした勤勉さは、やはり国民性によるところが大きいだろう。
もうひとつの伝統が、駆け引きの上手さだ。
ひるんだ敵にさらに圧力をかけ、反撃に出る敵の鼻っ柱を折る。ドイツはこうした流れを断ち切るプレーが上手いが、スロバキア戦でもそれが見られた。
43分、ドラクスラーの巧みなドリブルからゴメスのゴールが生まれる。この2点目でスタジアムは、ほぼ勝負がついたという雰囲気になった。このまま、ハーフタイムを迎えれば良い。
だがドイツは、ここから一気にギアを上げた。休むどころか運動量を上げ、前から果敢にスロバキアに圧力をかけたのだ。
しかも、ハイプレスの先陣を切ったのは、ゴールを決めたゴメス。決定的な2点目で意気消沈したスロバキアを、一気に押し潰そうとした。こういうことができるのが、ドイツの強さである。
前半にやれることをしっかりやって勝負を決め、後半は流しながらも要所を締める。こうしてドイツは、完璧に近いかたちで勝利を手に入れた。
冷や汗をかいたフランス、死闘を演じる羽目になったポルトガルとは対照的な、余力を残しての勝ち上がり。やはり、終わってみればドイツが優勝、ということになるのだろうか。
現地取材・文:熊崎 敬