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森保Jに過信は感じられないが、慢心という影は音もなく忍び寄る。“世界最速”に大きな価値はない。本大会までにW杯仕様の戦い方を身に付けられるか

カテゴリ:日本代表

吉田治良

2025年03月21日

しかし彼らは盲目的に“自分たちのサッカー”を信じた

予選3試合を残してW杯出場を決めた日本。アジアでは圧倒的な強さを見せつけた。(C)SOCCER DIGEST

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 完璧な予選の歩みが、必ずしも本大会での成功につながらないことは、ワールドカップの歴史が証明している。

 象徴的なケースとして思い出されるのが、2018年ロシアW杯のドイツ代表だ。チェコ、ノルウェー、北アイルランドなどと同居する決して簡単ではなかった欧州予選を、破竹の10連勝で悠然と突破。得点43、失点4という圧倒的な数字を残して本大会出場を決めた前回王者はしかし、史上3か国目となるW杯連覇の偉業を逃したばかりか、まさかの最下位(1勝2敗)でグループリーグ敗退という屈辱を味わうこととなる。

 チームを1つにまとめる絶対的なリーダーの不在が敗因として指摘されたが、それ以前に、4年前とほとんど代わり映えのしないメンバーと戦術で再び頂点を極められるほど、W杯は甘くなかったということだ。

 過信と固執──。2006年の監督就任以来、W杯(10年大会が3位、14年大会で優勝)とEURO(08年大会で準優勝、12、16年大会はベスト4)で申し分のない成績を残してきた当時のヨアヒム・レーブ監督に、慢心がなかったとは言い切れない。予選後のテストマッチでオーストラリアに32年ぶりの敗北を喫するなど思うように調整が進まなくても、「本番になればなんとかなる」と過信し、サミ・ケディラやマッツ・フンメルス、トーマス・ミュラーといった4年前の優勝メンバーの経験に寄りかかり過ぎた結果が、この歴史的な大失態を招いたと言っていい。

 そうした慢心を助長したのが、メディアだった。辛辣なドイツメディアも、ビッグトーナメントで結果を残し続けてきたレーブに対しては、たかだかテストマッチで振るわなかったくらいでは批判の矛先を向けられなかった。当時のドイツ代表は、言ってみれば無風状態で、身の引き締まるような、良い意味でのプレッシャーを受けることなく、ふんわりと本番を迎えた印象が強い。
 
 似たような状況にあったのが、14年W杯に臨んだザックジャパンではなかったか。“世界最速”で本大会出場を決めた、当時「史上最強」の呼び声も高かったチームは、大きな期待を裏切り、1分け2敗のグループリーグ最下位でブラジルの地を去っている。

 アジア最終予選終了後のコンフェデレーションズ・カップで、ブラジル、イタリア、メキシコといった強豪国に歯が立たず、3戦全敗。厳しい現実を突きつけられたが、それでも最終的に彼らが拠り所としたのは、高い位置でボールを奪い、複数人が連動しながら素早くパスをつないでフィニッシュに持ち込むという“自分たちのサッカー”だった。

 アルベルト・ザッケローニ監督が選んだ23人のエントリーメンバーには、高さよりも足もとの技術に秀でたCB、守備力よりもパスセンスに長けたボランチが名を連ね、空中戦の強さを最大の武器とする大型CFも見当たらなかった。

 その心意気は否定しない。しかし、世界を相手に自分たちらしさを封じられた時の二の矢、三の矢を持たなかったのは事実だ。アジア予選を戦いながら、あるいは予選後のテストマッチを通じて、意識と戦術の両面で微調整を図るべきだったはずだが、しかし彼らは盲目的に“自分たちのサッカー”を信じた。

 指揮官はミランで十分な出場機会を得られていなかった本田圭佑、故障明けの長谷部誠など、コンディションを度外視して一部のコアメンバーに固執し、新戦力の発掘をないがしろにした。

 そして、日本のメディアもまた、ザックジャパンを持ち上げるだけ持ち上げ、13年11月のベルギー遠征でオランダ(2-2)、ベルギー(3-2)を相手に結果を残すと、「ベスト4も夢ではない」と無邪気に煽ったのだ。

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