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青森山田のプライド。「完全に勘違い」して天狗になっていた内間隼介が、大学の4年間で学んだこと「本当に自信と過信は紙一重」

カテゴリ:大学

安藤隆人

2024年12月20日

石櫃コーチの提案でボランチから右SBにコンバート

インカレでメンバー入りした内間。卒業後は大阪の一般企業に就職する。写真:安藤隆人

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 インカレ決勝ラウンドのグループステージ最終戦。大阪学院大学は鹿屋体育大学を3-0で下し、見事に1位で決勝トーナメント進出を果たした。

 この試合、ベンチには懐かしい顔がいた。かつて青森山田高で高校最後の選手権予選前にセカンドチームからトップチームに這い上がり、準優勝に終わった選手権では全試合に途中出場した内間隼介だ。

 彼が高校3年の2020年はコロナ禍によって通常のプレミアリーグが行なわれず、『スーパープリンスリーグ東北』として、プリンス東北と東北のプレミア参加チームが2グループに分かれて1回総当たりのリーグ戦を行ない、それぞれの1位が決勝で対峙する変則レギュレーションとなった。この時にセカンドチームをキャプテンとして牽引したのが内間だった。

 決勝では藤原優大、安斎颯馬、松木玖生、宇野禅斗がいるトップチームと激突。雨中の激戦の末に0-2で敗れたが、この『青森山田vs青森山田』は今でも筆者の記憶に深く刻まれる素晴らしいゲームだった。

 同時にこの試合での内間の立ち振る舞いも素晴らしかった。「セカンドが弱かったらトップチームは成長できない。この試合で気持ちを見せなかったら、この先はないと思う気持ちでやりました」と、常に毅然とした態度でチームを牽引。そのリーダーシップとひたむきさが当時の黒田剛監督の信頼を掴みトップチームに抜擢されると、選手権ではチームを終盤から締める選手として重宝された。

 話をインカレに戻すと、鹿屋体育大戦で内間に出番は訪れなかった。だが、アップ場や試合後の立ち振る舞い、ミックスゾーンで話を聞いた時の言葉も、実に彼らしい真摯でチームファーストだった。

「今年のチームはキャプテン3人体制でやっていて、僕はその1人なので、試合に出られなくてもチームのためにできることをやろうと思っています」

 予想できた言葉だったが、ここから内間が話したことは予想を大きく裏切るというか、大学に入ってからの紆余曲折を知ることとなった。

「大学1年生の時は完全に勘違いというか、天狗になっていました」

 大阪学院大に進学すると、青森山田という全国トップレベルの環境の中で這い上がって、選手権に出ていたというプライドが、知らず知らずのうちに彼の中で生まれてしまっていた。

「周りに対して『なんでこんなこともできないの?』とか、『青森山田ではこうだった』と思ってしまって、ずっと他責な考え方と自己中心的な行動を取ってしまっていたんです。リーグ戦には出られなかったんですが、入学当初からトップチームにいることができたので余計に思ってしまった」
 
 だが、そんな内間に大きな転機がやってくる。2年に進学する際、實好礼忠監督、石櫃洋祐コーチなど元Jリーガーであり、プロも指導してきた経歴のある人物がチームスタッフになった。そこで實好監督と石櫃コーチに真っ先に練習での態度を指摘された。

「1年経って、プライドを捨てられないでいましたが、他責にすればするほど、自分がうまくいかない。それを言い訳にさらに他責にする自分に内心、嫌気がさしていたのもあったので、2人の言葉は胸に刺さったというか、『ここで心を入れ替えないと終わってしまう』と思ったんです」

 同時に石櫃コーチにボランチから右サイドバックへのコンバートも提案された。

「僕に『サイドバックの方がスピード、突破力とか活かせるからやってみないか』と言ってくれて、ポジションも含めて心機一転、一からやろうと思ってやることにしました」

 石櫃コーチはヴィッセル神戸、名古屋グランパス、京都サンガF.C.で右サイドバックとして活躍した人物。スペシャリストからプレーだけではなく、人間性の部分も叩き込まれた。

 それでも3年生が終わるまでほぼセカンドチームで過ごすことになったが、内間は一切折れずに高校時代のようにひたむきにサッカーに打ち込んだ。だからこそ、4年になってキャプテンの1人に任命されるまでになった。

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