本命はやはり、ポルトガルのクリスチアーノ・ロナウドだ。オーストリア、アイスランド、ハンガリーとグループステージの対戦相手に恵まれたうえ、新機軸の２トップの一角で本領を発揮しそうな気配。クラブレベルでは６シーズン連続で年間50得点以上を達成し、代表レベルのメジャートーナメントも今回が７回目と突出した実績を誇る。２大会連続のトップスコアラーという史上初の栄誉に授かっても、何ら不思議はない。
 
　対抗はポーランドのロベルト・レバンドフスキとドイツのトーマス・ミュラーだろう。今や「世界屈指の９番」に伸し上がった前者は今予選で歴代最多の13ゴールをマークするなど乗りに乗っており、類稀なゴール嗅覚が光る後者はワールドカップで通算10ゴールと大舞台に滅法強いからだ。
 
　この３大主役候補に割って入りうるのが、イングランドのハリー・ケインとフランスのアントワーヌ・グリエーズマンか。15－16シーズンにはプレミアリーグ得点王に輝いて一気にスリーライオンズの主砲に成長したケインの勢いは侮れず、「セックステープ事件」の煽りで選考外となったカリム・ベンゼマに代わって開催国のエースとして期待されるグリエーズマンも一撃必殺の左足を持っている。
 
　過去のEUROでは計６得点と実績は十分で、実力には疑問の余地がないスウェーデンのズラタン・イブラヒモビッチは、グループステージの対戦相手がネック。ベルギーとイタリアが相手ではゴール量産は望めないだろう。「大穴」程度に留めたい。
 
　同じく、大穴に挙げたいのが、ゴールラッシュを決め込んでレスターを奇跡のプレミアリーグ優勝に導いたイングランドのジェイミー・ヴァーディーだ。本大会でレギュラー起用されるかまだ不透明だが、チャンスさえ得れば、初の大舞台での大爆発もなくはない。
 
　また、クロアチアのマリオ・マンジュキッチも侮れない。過去のEUROでは３試合・３得点、ワールドカップでも２試合・２得点とメジャー大会での実績が抜群だ。このペースが続くと仮定すれば、クロアチアが勝ち進めばその分だけゴール数も伸び、２大会連続の戴冠もありえるかもしれない。
 
　その他にも強烈かつ正確な直接FKという魅力を持つウェールズのガレス・ベイル、フィニッシュワークが多彩で爆発力もあるフランスのオリビエ・ジルー、持ち前のパワーのみならず状況判断にも磨きが掛かってきたベルギーのロメル・ルカクなども注目に値。さらに、意外な伏兵も現われるかもしれない。
 
　いずれにしても、得点王レースは目が離せない「もうひとつの戦い」だ。
 
●EURO2016 得点王レース予想
本命：C・ロナウド（ポルトガル）
対抗：レバンドフスキ（ポーランド）、ミュラー
穴：ケイン（イングランド）、グリエーズマン（フランス）
大穴：マンジュキッチ（クロアチア）、ヴァーディー（イングランド）、イブラヒモビッチ（スウェーデン）
その他：ベイル（ウェールズ）、ジルー（フランス）、ルカク（ベルギー）