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【パリ五輪を戦った大岩剛の回顧録|後編】オリンピックにベストメンバーで臨むのはもはや不可能。メダルを目ざすのか、それとも――「その岐路に立っている」

カテゴリ:日本代表

松尾祐希

2024年10月02日

世界を見渡せば、まだまだ物足りない

パリ五輪で直面した様々な問題。大岩監督が歩んできた道は日本サッカー界にとって財産であり、今後につなげなければならない。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 2022年3月のチーム発足当初から、大岩剛監督が常々言っていた言葉がある。

“A代表経由パリ五輪”。

 何度も口にし、選手たちの成長を促すために環境を整え、言葉を投げかけてきた。実際にFW細谷真大(柏)が五輪イヤーの24年1月にA代表のアジアカップに参戦。所属クラブとの兼ね合いで本大会のメンバーから漏れたGK鈴木彩艶(パルマ)も森保ジャパンで正GKとなった。だが、五輪本大会前にA代表に定着した選手は他にいない。

 もちろん、A代表の常連になるのは簡単ではない。指揮官の力だけではなく、個人の努力やチーム状況、メンバー構成にも左右される。細谷と鈴木のふたりが五輪前からメンバーに食い込んでいたとはいえ、ヨーロッパや南米の強国と比べれば物足りなさは残る。

 大岩監督は約2年5か月の活動で何を感じたのか。後編では指揮官のリアルな想いとともに、パリ五輪世代に何が必要だったかを振り返る。

――◆――◆――
 
 インターナショナルマッチウィーク外の開催となるパリ五輪のアジア最終予選(U-23アジアカップ)や本大会ではベストメンバーを組めなかった。もちろん、大岩監督はそれを言い訳にするつもりはないし、五輪でベスト8に終わった結果はシンプルに実力不足だったと受け止めている。

 ベストメンバーを揃えられない事態は、最初から想定していた。重要な局面で選手を招集できない可能性を考慮し、多くの選手を活動に呼んで刺激を与えるとともに、新たな戦力の見極めを行なってきたのもそのためだ。

 種を巻き続けた成果は少なからずあり、主力組以外の選手で臨んだ昨秋のアジア競技大会で力を発揮した右SB関根大輝(当時は拓殖大、現・柏)が本大会のメンバーに食い込んだ。だが、世界を見渡せば、まだまだ物足りない。たとえばパリ五輪の準々決勝で0-3の敗北を喫したスペインは、主力が不在でもタレント揃いだった。

 U-23世代のMFペドリ、FWラミン・ヤマル(いずれもバルセロナ)、FWニコ・ウィリアムス(A・ビルバオ)は6月に開催されたA代表のEUROを優先。怪我の影響でEUROに出場できなかったMFガビ(バルセロナ)も五輪を回避したが、それでもスペインの選手層は頭ひとつ抜けていた。

 EUROで出場機会がなかった関係で、五輪への出場が実現したFWフェルミン・ロペス(バルセロナ)は日本戦で2ゴールをマーク。CBパウ・クバルシは17歳ながらバルセロナでレギュラーを務めている逸材だ。

 彼ら以外にもA代表でプレーできる力を持つ選手が揃う。バルセロナの下部組織出身のCBエリック・ガルシア(ジローナ)は21年の東京五輪で銀メダル獲得に貢献し、22年のワールドカップ・カタール大会にも出場しており、今大会もCBのレギュラーとして活躍。今夏のEUROでメンバー入りしたMFアレックス・バエナ(ビジャレアル)は、プレーメーカーとして金メダル獲得に貢献した。

 他のメンバーを見ても、A代表を経験していなくても欧州のメガクラブが保有権を持つ選手は少なくなく、すでにラ・リーガでレギュラーを張っている選手も多い。パリ五輪世代の選手がA代表に引き上げられていたとしても、これだけのタレントを揃えられたスペインのメンバーを考えれば、日本の選手層はまだまだ薄かったと言える。

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