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次々と欧州へ。日本サッカーのブランド力向上の半面、確実に進むJリーグの空洞化。打開策を見出せなければ、代表との格差はますます――

カテゴリ:Jリーグ

加部 究

2024年09月22日

サッカー小僧たちはW杯やCLを夢見ている

10代で海を渡った塩貝健人(左)と道脇豊(右)。写真:滝川敏之

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 サッカー小僧たちは世情に敏感で正直だ。ある指導者がジュニア対象のクリニックを実施し、「Jリーガーになりたい人?」と声をかけると、1人も手が挙がらず、観戦経験のある子も数人だけだった。

 もはやサッカー小僧たちは、Jリーグを飛び越してワールドカップやUEFAチャンピオンズリーグを夢見ている。だから若い選手たちは、夢の実現から逆算して行動する傾向が顕著になっている。
 
 この夏も多くの日本人選手たちが海外移籍を果たしたが、象徴的だったのは塩貝健人の選択だ。

 国学院久我山高校のエースだった塩貝の才能の大きさを、真っ先に知らしめたのは横浜F・マリノスだった。慶應大学2年に進級する頃には卒業時のプロ内定を出し、特別強化指定選手として抜擢するとJ1でもゴールを決めた。

 だが、この19歳の才能には、既に欧州市場も注目していた。いくつかのクラブ間の争奪戦を経て、オランダのNECが4年契約で獲得。結局横浜は、せっかくの内定を解除することになった。
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 また、ロアッソ熊本のアカデミーで育った道脇豊は、15歳で同クラブとプロ契約を果たすが、18歳の今は、ベルギーのベフェレンでプレーしている。NECやベフェレンは、必ずしもJリーグより格上とは言い切れない。

 しかし、三笘薫がプレミアリーグのブライトンでブレイクする前に、ベルギーのユニオン・サン=ジロワーズで暫くプレーしたように、彼らは未来のビッグクラブへの移籍に備え、現地で助走期間を過ごしているわけだ。

 こうして欧州でも日本の才能は、もはや代表レベルに留まらず、10代から幅広くスカウティングされている。日本サッカーのブランド力が急上昇している証でもある。
 
 ただし反面、日本サッカー界の好況は、確実にJリーグの空洞化を進めている。スペインで土台を固めた久保建英は、18歳の誕生日が来るのを待って再び日本を飛び立ったわけだが、今では日本で生まれ育った選手たちでも久保と変わらぬスピード感で欧州進出を描くようになった。
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