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【現地記者の英国通信】112年の思い出が詰まったアプトン・パーク最終戦。あの日、スタジアム周辺で何が起きていたのか――。

カテゴリ:ワールド

スティーブ・マッケンジー

2016年05月28日

ユナイテッドからの逆転勝利でウェストハムが快哉を叫ぶ。

アプトン・パークで行なわれる最後の試合は、ウェストハムサポーターの暴動によってキックオフ時間の遅延という事態に見舞われたが、ユナイテッドからの逆転勝ちというドラマチックな展開で終了した。 (C) Getty Images

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試合前にスタジアム周辺の広場でチャントを熱唱するウェストハムのサポーターたち。 写真:スティーブ・マッケンジー

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 5月11日、ウェストハムは1904年から使用してきたアプトン・パークでのラストゲームを戦った。
 
 来シーズンからオリンピックスタジアムに本拠地が移転するウェストハムは、この4日前にスウォンジーに1-4と大敗。ヨーロッパ・リーグの出場権獲得のために負けられない状態にあった。
 
 その重要な一戦の前に、ある事件が起きた。
 
 すでにご存知かもしれないが、ウェストハムのサポーターがユナイテッドの面々が乗るチームバスを急襲し、窓ガラスを割ったのだ。
 
 これによりプレミアリーグでは珍しくキックオフ時間が45分も延長になるなど、フットボールに関係のないピッチ外での出来事が試合に悪影響をもたらしてしまうという最悪の事態に見舞われた。
 
 その影響が悪循環を生み、キックオフ時間までにビールを飲み続けて興奮状態となったファン同士の喧騒もあり、スタジアム内の雰囲気は、より一層張り詰めたものになっていた。
 
 しかし、ウェストハムの面々は、高給取りのユナイテッドよりも高い集中力を持続し、アプトン・パークでのラストゲームに臨んでいた。
 
 スタジアムのみならず、その周辺にも本当に多くのウェストハムファンが駆けつけ、興奮と緊張感が入り混じる試合は本当に素晴らしい一戦になった。私が記憶するなかでも、最も忘れがたく、驚くべき一夜となった。
 
 幸先良く先制しながらも、72分に1-2と逆転されたウェストハムは、その後、76分、80分とネットを揺らし、3-2と再びリードを奪って世界一有名なクラブを粉砕したのだ。
 
 私が初めてアプトン・パークで観戦したのは、12歳の時だった。それ以来いくつのも戦いを見つめてきたが、その度に試合を振り返るのが私の人生の楽しみでもあった。
 
 もう、アプトン・パークに戻ることはないが、あのグラウンドでのいくつもの記憶は、私の中に留まりつづけるだろう。
 
 そして、最後にスタジアムの正門にあたる「ブーリン・グラウンド・ゲート」で見つけた、とある詩を紹介したい。この詩はウェストハムファンの気持ちを完璧に表現した作品だ。
 
「決して、さようならは言わない。なぜなら、さようならは別れを意味するからだ。そして別れは忘れることを意味する。たくさんの思い出をありがとう。ここを忘れはしない」
 
文:スティーブ・マッケンジー
 
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