【移籍専門記者】トッティは残るのか、それとも去るのか――。ローマが騒然とする

カテゴリ:移籍情報

ジャンルカ・ディ・マルツィオ

2016年05月18日

15年前に引き抜きを狙ったマドリーもさすがに今は……。

2001年当時のトッティ。マドリーのペレス会長は銀河系軍団の一員に加えるべく動いたが、ローマからにべもなく拒否された。(C)Getty Images

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 2001年9月11日、チャンピオンズ・リーグのローマ対レアル・マドリーがキックオフする数時間前のことだ。
 
「セニョール・フランコ、いくら払えばフランチェスコ・トッティを売っていただけますかね?」
 
 スタジアムのVIPルームでマドリーのフロレンティーノ・ペレス会長にそう尋ねられたローマのフランコ・センシ会長は、目を丸くして驚いた。そして、その後ひどく不機嫌になって、こう答えた。
 
「フロレンティーノ、冗談は止めましょう。フランチェスコに値札をつけることはできませんよ」
 
「ここで無理押しするべきではない」と察したペレス会長は、にっこり笑って一旦矛を収めた。しかし、それでトッティ獲得を諦めたわけではなかった。何しろ彼は、トッティのようなタイプが大好きなのだ。タレント、カリスマ、ファンタジア、そしてパーソナリティーと真のワールドクラスに必要な全てを備えたトッティは、たしかに当時隆盛を誇った銀河系軍団に相応しいプレーヤーだった。
 
 実際、ペレスは数年後に再び、フランコの後を継いだ娘のロゼッラ・センシ会長にもトッティ獲得を打診してきた。しかし、返答は同じだった。
 
「トッティはアンタッチャブルであり、永遠にローマでプレーを続ける」
 
 ペレスは「本当に残念なことです」と言って、引き下がらざるをえなかった。
 
 トッティがマドリーに移籍していたら、サンチャゴ・ベルナベウの観客は間違いなくこのファンタジスタを愛したことだろう。今年3月8日のマドリー対ローマでは、74分からピッチに立った背番号10にスタンディング・オベーションが贈られた。偉大なプレーヤーに対するマドリディスタたちの深いリスペクトを、はっきりと示すシーンだったと言える。
 
 しかし、弱冠16歳でトップチームにデビューしてから23年にも及ぶローマとのラブストーリーは、15-16シーズン限りで終わりを告げる可能性がある。
 
 6月30日に満了する契約の更新を、以前のようにローマ周辺の全ての人間が望んでいるわけではないからだ。トッティがメルカートに出る? もし、そこでマドリーが獲得に乗り出したら? これはクレイジーな思いつきに過ぎないのか、それとも現実になる可能性があるのだろうか? 
 
 真実はその中間にある。トッティ自身は「まだ自分は選手として十分やれる」という確信を持っており、かつて獲得に乗り出してくれた世界で最も権威あるクラブでキャリアを閉じるという考えには、魅力を感じるはずだ。
 
 しかし、マドリーのペレス会長には今のトッティに手を差し伸べる意思は毛頭ない。たとえかつてどれほど偉大だったとはいえ、今年で40歳になる選手を獲得するというのは、世界の頂点に立つクラブにとってはありえない話だ。
 
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