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苦しい時期も辛い出来事も過去の話。鋼の肉体を誇示する佐藤恵允は、メダル獲得に全身全霊を注ぐ【パリ五輪の選ばれし18人】

カテゴリ:日本代表

松尾祐希

2024年07月17日

「日本人だから負けるとかは嫌いなので」

パワフルなスタイルで勝負する佐藤。両サイドやCFでプレー可能で、決定的な仕事に期待がかかる。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 まもなくパリ五輪が開幕する。ここでは56年ぶりのメダル獲得を目ざすU-23日本代表の選ばれし18人を紹介する。今回はFW佐藤恵允(ブレーメン)だ。

――◆――◆――

 コロンビア人の父から譲り受けた鋼の肉体は凄まじい。日本人離れしたフィジカルの強さを活かし、単騎でボールを前に運んでいく。そんなパワフルなスタイルで勝負をするのが、FW佐藤恵允だ。

 主戦場は左サイド。だが、右サイドでも機能し、センターフォワードでもプレーが可能。そうした汎用性も魅力のひとつで、18人と限られた人数で戦うパリ五輪において重要な戦力になるのは間違いない。

 今でこそパリ五輪世代を代表する選手のひとりだが、実践学園高時代は世代別代表に選ばれた実績はなく、高校サッカーで大きな注目を浴びる選手でもなかった。しかし、明治大で才能が花開き、大学2年生だった21年6月に初めてU-20日本代表候補に選出。同年10月に実施されたU-23アジアカップ予選に臨むU-23日本代表にも名を連ね、22年3月に発足した大岩ジャパンでは、5月の候補合宿で初めてメンバー入りを果たした。

 そこからコアメンバーとして多くの活動に参戦。とりわけ素晴らしかったのが、23年3月の欧州遠征だ。圧倒的なパフォーマンスで“個”を示し、強烈なインパクトを残す。1ゴールをマークしたドイツ戦後(2-2)には自信を深めている様子が見て取れた。

「フィジカルのところは自分の武器。相手がドイツであろうと負けたくなかった。日本人だから負けるとかは嫌いなので。まだまだですけど、手応えを感じられた」

 直後のベルギー戦(2-3)でも屈強な相手DFに当たり負けせず、決定機を量産。その活躍ぶりからは貫禄すら漂っていた。パフォーマンスの上昇とともに周囲も騒がしくなり、多くのJクラブから関心を示されるまでに。そして大学4年生だった23年夏に大きな決断を下す。Jリーグを経由せずにドイツリーグ1部のブレーメンに加入し、異国の地に赴くことにした。

 まさに絵に描いたようなサクセスストーリー。ここからさらなる飛躍を期し、ブレーメンでは5部リーグに籍を置くU-23チームで研鑽を積んだ。技術的な改善を図りながらステップアップを目ざすなかで、特に力を入れたのがファーストタッチ。自身の突破力を活かすために、細部にこだわる姿勢を貫いた。
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 インターナショナルマッチウィーク外の開催となった23年10月のアジア競技大会にも、海外クラブ所属ながら代表活動に参加し、攻撃の柱として準優勝に貢献。クラブでも年明けにはトップチームでベンチ入りするなど、順調な歩みを見せていた。しかし、そこから先は簡単に事が運ばなかった。

 4月半ばに開幕したU-23アジア選手権。パリ五輪のアジア最終予選を兼ねた大会でメンバー入りし、10番を託されたが、決定力不足を露呈してスランプに陥ってしまう。批判的な声も自身の耳に入り、さらに自分のプレーを見失った。

 グループステージ終了後の選手ミーティングでは仲間から励ましを受け、ポジティブなメンタルを取り戻したが、最後までゴールは決められずに終戦。本大会出場とアジア制覇を達成したチームの裏で唇を噛んだ。

 今年6月のアメリカ遠征でも大きなアピールはできなかったものの、これまでの実績とプレーを評価されてメンバー入り。大岩剛監督の信頼は最後まで揺らがず、パリで挽回するチャンスを得た。

「自分は日の丸を背負った18人の選手のひとり。全試合、死ぬ気で勝ちに行き、メダルを獲りたい」とは佐藤の言葉。苦しい時期も辛い出来事もあった。だが、それは全て過去の話。自分を支えてくれたスタッフやチームメイトのためにも、下を向いている時間はない。アジアでの悔しさを晴らすべく、大舞台で最高のパフォーマンスを見せるための準備を進めていく。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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