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機は熟した。町田で一気に株を上げた藤尾翔太は、馬力あふれるプレーが魅力。苦しい時にも頼りになるはずだ【パリ五輪の選ばれし18人】

カテゴリ:日本代表

松尾祐希

2024年07月15日

努力を重ねて自らの道を切り拓く

CFと右ウイングで計算できる藤尾。泥臭くゴールを狙い、守備での貢献度も高い。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 パリ五輪開幕まで2週間を切った。ここでは56年ぶりのメダル獲得を目ざすU-23日本代表の選ばれし18人を紹介する。今回はFW藤尾翔太(FC町田ゼルビア)だ。

――◆――◆――

 簡単には倒れない。大柄なCBに身体をぶつけられても、前に突き進む。体勢を崩されてもキープし、泥臭くゴールをもぎ取る。守備も献身的で、ハードワークを厭わない。攻守両面で貢献できることが、FW藤尾翔太の魅力だ。

 阪南大高でキャプテンを務めた父親や、立正大淞南で高校サッカー選手権に出場した経験を持つ4歳上の兄の影響で幼少期からボールを蹴っていた藤尾は、早くから将来を有望視されていた。

 小学校3年生でリップエースSCジュニアに加わると、「ゴールを決めるのが好きだった」という少年は打開力を武器に瞬く間に頭角を現す。ジュニアユースに昇格してもエースの座を譲らず、中学卒業のタイミングでは多くのJクラブや高体連の強豪校から誘いを受けた。

「プロサッカー選手になるために最短距離を走りたい」という理由でJクラブに選択肢を絞り、環境や雰囲気に惹かれてセレッソ大阪U-18入りを決めた。高校1年次から出場機会を掴み、2年次にはU-23チームでJ3デビュー。順調に歩みを進めており、キャリアだけを見ると、エリート街道を走ってきたように見える。

 だが、そうではない。決して天才肌のタイプではなく、努力を重ねて自らの道を切り拓いた選手である。本能任せのプレーでは上に行けないと悟り、ゴールを奪うために創意工夫を凝らす。サッカーIQも鍛え、戦術眼に磨きをかけた。

 それだけではない。身体作りも見直した。元々ファストフードやカップ麺を食べないスタイルだった男は、さらにストイックな姿勢で邁進。添加物を摂取しない食生活で、強靭な肉体を作り上げてきた。
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 サッカーと真摯に向き合うスタンスはプロになってからも変わらない。むしろ向上心に磨きがかかり、貪欲さが増した。出場機会が得られないと考えれば、武者修行の道を積極的に選んだ。20年に正式にC大阪のトップチームに加わったが、J1では4試合の出場に留まる。そして翌年6月にJ2の水戸ホーリホックへの期限付き移籍を決断し、22試合で8得点をマークする。

 2022年はJ2の徳島ヴォルティスに活躍の場を求め、30試合・10得点で自身初の二桁ゴールを記録した。23年は1年半ぶりに桜色のユニホームに袖を通したが、開幕からメンバー外が続くと、3月に町田への期限付き移籍を決めた。

 新たな環境に飛び込むことが、藤尾の転期となる。加入当初はベンチスタートが多く、FWエリキとFWミッチェル・デュークの牙城を崩せずに途中出場が続いた。だが、徐々に黒田剛監督が求める守備を理解していくと、先発起用の機会が増加。今年2月のインタビューで藤尾は当時をこう振り返っている。

「黒田さんがやりたいサッカーを理解し始めていたタイミングで、うまく順応できたと感じられた。高体連に近いサッカーで、強度が求められるだけではなく、プレーの連続性も必要になる。ボールが来る回数も多いし、センターバックから難しいボールが来ることも多いので、それを収められるようになれば、自分の武器になると思ったので意識的に頑張りましたね」

 夏場にエリキが負傷で長期離脱した影響もあったが、最終的には33試合に出場し、8ゴールを記録。チームのJ2優勝とJ1昇格に大きく貢献し、一気に株を上げた。

 迎えた今季は町田に完全移籍を果たし、ここまで19試合で8ゴール。チームトップの得点数を挙げている。その成果は大岩ジャパンでも発揮されており、6月の海外遠征でも11日のアメリカ戦(2-0)で先制点となるPKを冷静に沈めた。

 機は熟した。センターフォワードだけでなく、右のウイングにも対応できる男は自信を持ってパリに向かう。準決勝までは中2日の連戦が続く本大会。苦しい時に頼りになる藤尾の存在が日本に欠かせない。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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