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セレソン零封は“狭いピッチ”のおかげか。コスタリカ指揮官は「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」。19歳DFの奮闘を称賛【コパ・アメリカ戦記】

カテゴリ:国際大会

浅田真樹

2024年06月26日

2年後のW杯へ向け、世代交代を図りながら強化

“王国”ブラジルと互角の勝負で0-0ドロー。コスタリカサポも喜んだはずだ。写真:浅田真樹

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 7月20日に開幕したコパ・アメリカ2024も、大会5日目にして出場全16か国が出揃った。

 グループステージ1巡目のトリは、優勝候補ブラジルに伏兵コスタリカが挑んだ一戦。いわば真打ち登場となったはずの試合は、しかし、思わぬ結果が待っていた。

 試合は序盤からブラジルの圧倒的攻勢で進み、コスタリカは防戦を強いられていた。

 ところが、コスタリカの分厚い守備をこじ開けられないブラジルは、次第に焦りと苛立ちを募らせていく。

 攻めてはいても、決定機を作り出すまでには至らない。むしろ時間の経過とともに、チームとしての機能性が失われていく様子さえ見て取れた。

 終わってみれば、0-0。ブラジルが、まさかの引き分け発進となった。

 そんな意外な結果に影響を与えたと見られているのが、“狭いピッチ”である。会場となったSo-Fiスタジアムのピッチサイズは、100m×64m。通常の105m×68mに比べると、一回り小さなものだったからだ。

 ブラジルのドリバウ・ジュニオール監督は、「ピッチが縦にも横にも狭くなっていたため、守備側にとっては簡単に、攻撃側にとっては難しくなった。ダブルチームでのマークが非常に速く起こっていた」と、“悪影響”を口にしている。

 とはいえ、コスタリカのグスタボ・アルファロ監督は、「ブラジルのようにウイングがピッチの幅を確保しようとするチームにとって、通り抜けられるスペースが短くなるのは明らかだった」としつつも、自分たちに有利に働いたとの見方に対しては、「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」。
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 そして指揮官は、「ピッチが広ければ、ブラジルがもっと高い位置まで上がって、ディフェンダーの後ろにもっと(カウンターに使える)スペースが生まれただろう。ピッチの狭さは、我々に不利だった可能性もある」と指摘することを忘れなかった。

「ピッチが狭いからボールを奪えたと言いがちだが、コスタリカの守備陣が良い仕事をしたんだ」

 なかでもアルファロ監督が称えたのは、まだ国際Aマッチ出場5試合目の19歳、ジェイランド・ミッチェルである。

 3バックの右DFを務めたミッチェルについて、アルファロ監督曰く、「高さとスピードがあり、1対1に強い。彼にマークする選手を与えると、予見能力が高いために無力化させてしまう」。

 ブラジルの左ウイングがロドリゴになることもあれば、ヴィニシウス・ジュニオールになることもあるなかで、右ウイングバックのハクセル・クロスと連係しながら世界屈指のアタッカーを封じたミッチェルを高く評価した。

「彼はストッパーにも、リベロにもならなければいけなかったが、素晴らしいデモンストレーションを披露してくれた」

 そんな将来有望なDFに象徴されるように、コスタリカは2年後のワールドカップへ向け、世代交代を図りながら強化を続けている。

 かつてはヨーロッパでも活躍した31歳のジョエル・キャンベルは、「私たちは若くて良いチームであり、良い結果を出している。今日のような戦略性の高い試合をして、良い結果を残し、決勝トーナメントに到達したい」と、若返りが進むチームを称賛。

 アルファロ監督もまた、「今後成長するために重要な時期を迎えている」と言い、こう語る。

「将来、別の大会で再びブラジルと対戦することを望んでいる。我々がこれをうまく利用すれば、おそらくもっと良い試合になるだろう」

 巨大な敵を無得点に封じての引き分けは、今大会の勝ち上がりに大きな意味を持つばかりでなく、今後の強化のためにも非常に価値のある勝点1になったのかもしれない。

取材・文●浅田真樹(スポーツライター)

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