• トップ
  • ニュース一覧
  • かつてカタールをアジア王者に導いた知将も脱帽。ベネズエラ指揮官の采配ずばり! 途中出場のふたりが得点し、鮮やか逆転勝ち【コパ・アメリカ戦記】

かつてカタールをアジア王者に導いた知将も脱帽。ベネズエラ指揮官の采配ずばり! 途中出場のふたりが得点し、鮮やか逆転勝ち【コパ・アメリカ戦記】

カテゴリ:国際大会

浅田真樹

2024年06月24日

「ベンチにも良い選手がいるからね」と安堵の表情

試合当日の気温は32度。サポーターもインパクト抜群のオブジェで避暑。写真:浅田真樹

画像を見る

 アメリカで開催されているコパ・アメリカ2024。グループBの初戦で顔を合わせたのは、ワールドカップ南米予選で現在4位のベネズエラと、同5位のエクアドルである(第6節終了時)。

 先手を取ったのは、エクアドルだった。39分、FKのクリアをジェレミー・サルミエントがダイレクトで蹴り込み、先制に成功した。

 しかし、後半に入って攻勢を強めるベネズエラは、65分にサロモン・ロンドンが丁寧に落としたボールをジョンデル・カディスがゴールへ流し込み、まずは同点に。さらに75分、ロンドンのヘディングシュートがGKに弾かれたところを、エドゥアルド・ベロが押し込んで逆転。そのまま2-1で押し切ったベネズエラが、貴重な勝点3を手にした。

 結果的には、南米予選の順位で上回るベネズエラが、順当に勝利した格好である。

 しかし、目の前で繰り広げられた熱戦は、それほど単純なものではなかった。流れを大きく変えたのは、19分の出来事だ。

 ケンドリー・パエスのシュートがGKに防がれたボールを拾おうと、エネル・バレンシアが懸命に伸ばした足の裏が、相手DFの胸のあたりに入ってしまい、レッドカードで退場となってしまったのである。

 エクアドルのフェリックス・サンチェス・バス監督が振り返る。

「残念ながら10人で70分間プレーしなければならなくなり、少し引いて構えることになった。スコアの上では何とかリードしたが、それを守ることはできなかった」

 そう語る指揮官の名に、聞き覚えがある日本のファンは多いのではないだろうか。

 というのも、サンチェス・バスとは、2022年ワールドカップで地元カタールを率いた指揮官であり、2019年アジアカップ決勝では巧みな戦術を駆使し、日本を3-1で下した知将としてよく知られる存在だからだ。
【PHOTO】華やかで可憐なスタジアムの華!EUROで躍動する名手たちの妻、恋人、パートナーら“WAGs”を一挙紹介!
 実際、フェリックス・バス監督は、ただ手をこまねいて見ているだけではなかった。

 キャプテンを失った後は、すぐに「空中戦を考えて」ケビン・ロドリゲスを投入。と同時に、トップ下のパエスを右サイドへ移すことで、どうにかチャンスメイクの機会をうかがおうとした。

 果たして、セットプレーから先制。さすがは戦略家、のはずだった。

 しかし、この試合に関して言えば、打つ手で勝っていたのは、ベネズエラのフェルナンド・バティスタ監督のほうである。

 このアルゼンチン人指揮官は、「スタートはエクアドルの方が良かった」と認めつつも、勝敗を分けたポイントに「退場の後」を挙げ、こう続けた。

「相手が10人になると、時に試合は複雑になるものだ。ただひとつ私が望んだのは、落ち着いてプレーすることだった」

 そして、後半開始とともにカディスとベロを同時投入。そのふたりがともにゴールを決めて試合をひっくり返すのだから、まさに采配的中、である。

 加えて、会場のリーバイス・スタジアムは日差しが強く、気温32度に見舞われたことも大きかった。守備に追われるエクアドルの消耗が激しくなるのも、無理はなかった。

「エクアドルが中央を閉め、カウンターを狙ってくるのは分かっていた。サイドからの攻撃が必要だった」

 そう振り返ったバティスタ監督は、「我慢して冷静に戦ってくれた」と選手たちを称えるとともに、「後半はとても良かった。我々には11人だけでなく、ベンチにも良い選手がいるからね」と語り、安堵の表情を浮かべた。

 一方のフェリックス・バス監督は、前半のロドリゲス投入について「期待したほどの成果はなかった」と自戒。「勝利を収めたのだから、今日対戦した戦略家は私よりも優れていたんだ」と、潔く負けを認めた。

 カタールを初のアジア王者へと導いた知将も、この日ばかりは脱帽するしかなかった。

取材・文●浅田真樹(スポーツライター)

【PHOTO】コンセプトはFIRE(炎)! 日本代表が新ユニホームを発表! 久保建英、長谷川唯ら選手着用ショット!

記事:【識者見解】W杯最終予選、“最悪”の組み合わせは? 理想は日本、豪州、ウズベク、バーレーン、パレスチナ、クウェート

記事:「いまだにプロになった時と同じ」57歳のカズ、情熱に衰えはなし。身体は大丈夫なのか「先生に質問すると『分かりません』って」
 
【関連記事】
現地でのアルゼンチン人気、いや、メッシ人気がすさまじい。大きな期待にも難なく応えてしまうのだから、さすがである【コパ・アメリカ戦記】
【識者見解】W杯最終予選、“最悪”の組み合わせは? 理想は日本、豪州、ウズベク、バーレーン、パレスチナ、クウェート
「いまだにプロになった時と同じ」57歳のカズ、情熱に衰えはなし。身体は大丈夫なのか「先生に質問すると『分かりません』って」
「顔の骨が数本折れ、脳震盪も起こした」緊急搬送されたハンガリーFW、指揮官が状況を説明「選手たちから聞いた話では…」【EURO】
「僕も6番を獲ったほうがいいと思う」遠藤航、リバプールのアンカー補強報道にまさかの発言。“真意”は?「マカリステルのような選手を...」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ