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精神科医が診断!覇権を争うプレミア3強のキャプテンで最も頼りになるリーダーは誰か「過酷な優勝争いの中で若いチームを導けるかは未知数」【アーセナル/ウーデゴー編】

カテゴリ:ワールド

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2024年04月28日

「縁の下の力持ち」タイプ

若いアーセナルを主将としてまとめているウーデゴー。(C)Getty Images

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 熱心な海外サッカー・ウォッチャーであり、複数のクラブでメンタルアドバイザーを務める精神科医の木村好珠先生が、プレミアで三つ巴の覇権争いを演じるリバプール、マンチェスター・シティ、アーセナルのそれぞれのキャプテンのリーダーシップを診断する。重圧がのしかかるここからの戦いで最も頼りになるキャプテンは誰か? アーセナルのマーティン・ウーデゴーを診断する。
 
―――◆―――◆―――

マーティン・ウーデゴー(アーセナル/MF)
 
【木村先生のリーダーシップ診断/5段階評価】
●求心力/4
●影響力/4
●責任感/5
●精神力/4
●統率力/4

 分類するなら、いわゆる「縁の下の力持ち」タイプ。15歳でノルウェー代表にデビューして、当時は神童のように持てはやされましたが、16歳で渡ったレアル・マドリーではなかなか芽が出ず、その後はレンタル生活が続き、大きな挫折を味わいました。それを乗り越えてきた経験が、いまのウーデゴーを形作っているのでしょう。だからこそ人の痛みがわかるし、仲間にも寄り添える。
 
 デビュー戦を控えていた入団間もない冨安選手に、「ただ楽しめばいい」と声を掛けて緊張をほぐしたのがウーデゴーだったというエピソードは、「リーダー・ウーデゴー」の一面をよく表わしていると思います。
 
 マドリー時代を振り返ったインタビューで、「ドレッシングルームに溶け込むのが難しかった」と言っていましたが、あの頃はきっとサッカーを楽しめていなかったのではないでしょうか。だけど今は、自分自身を存分に表現できている。サッカーにおいてコミュニケーションがいかに大切かを彼はアーセナルで学び、そういう実体験があったからこそ冨安選手にも真っ先に声を掛けたのでしょう。周りもしっかり見える天才肌は貴重ですし、こういう振る舞いがリーダーとしての求心力にも繋がるはずです。
 
 そして特筆に値するのが責任感の強さ。これは、試合を通して足を止めずにボールを追い続けるあの献身的なプレッシングに、すべてが凝縮されていると思います。本当によく走りますからね。
 
 ただ、不安もあります。これはウーデゴーだけの問題ではなくて、アーセナルのチーム事情に起因する話ですが、マンチェスター・シティやリバプールに比べると、修羅場を潜り抜けてきた中堅・ベテランが少ない一方で、スキルはあるけど経験の浅い若手が多い。若手感が強いこのチームをまとめるのは、かなり大変だと思います。つまり、キャプテンとして求められる仕事が、ファン・ダイクやウォーカーよりも確実に増える。監督にしても、アルテタはペップやクロップに比べれば未熟ですからね。
 
 そう考えると、リーダーシップ診断の5項目で言えば、とくに影響力や精神力、統率力は、他の2チームのキャプテンより求められるわけで、現在25歳のウーデゴーがどこまで応えられるかは、計りかねる部分です。
 
 言動を見る限り、とても真面目でつねにチームにコミットしていて、自分にしっかり矢印を向けられるタイプ。それ自体はすごく素晴らしいことです。ただ、良くも悪くも責任感が強すぎる。アドラー心理学における「課題の分離」という考え方――自分の課題と他者の課題を切り離して考える思考法――があって、「これは自分のせいだ」、「これは他者にしかできないことだ」としっかり分離できるかどうかは、悩みやストレスを抱え込まないためにとても重要なのですが、真面目なウーデゴーは他者の課題も背負いかねないので、そこは少し心配です。
 
 ウーデゴーが、リーダーの資質を高いレベルで兼ね備えているのは間違いありません。ただ、過酷な覇権レースのなかで若いメンバーを引き付けて、導けるのか。そして彼自身も精神的に持ち堪えられるのか。そこは正直、未知数です。今回は「4」と診断した項目も、実際のところは「5」かもしれません。そのあたりを見定める意味でも、ここからの戦いは本当に見どころがありますし、ウーデゴーにとっては踏ん張りどころだと思います。
 
診断者●木村好珠
 
【診断者プロフィール】
大学時代に『ミス日本』で準ミスに輝き、現在は『このみこころとからだクリニック』院長。精神科医、産業医、健康スポーツ医、タレントとしても活躍。大のサッカー好きで、マンチェスター・Cのファン。北海道コンサドーレ札幌やレアル・マドリー・ファウンデーションのアカデミー、愛媛FCなどでメンタルアドバイザーも務める。22年には『メンタル弱いままたのしく生きていく』を出版。X(@konomikimura)では精神科医およびサッカーファンの一人として呟き中。
 
※『ワールドサッカーダイジェスト』2024年4月18日号の記事を加筆・修正

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