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パリ五輪でなくて良かった。最終ラインの組み立てのスキル、最前線でボールを収める技術は絶望的で、これでは長谷川という極上のタレントがいても...【コラム】

カテゴリ:女子サッカー

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2024年04月10日

現実を突きつけられたなでしこジャパン

ブラジル戦後、悔しい表情を見せる長谷川。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

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 これがパリ五輪でなくて良かった。なでしこジャパンが4位に終わったSheBelieves Cupを受けての率直な感想だ。アメリカ戦では個の戦いで明らかに劣勢を強いられ、ブラジル戦もイージーなミスが散見。観ていて、フラストレーションを溜めたファン・サポーターも多かったのではないか。

 アメリカ戦での清家の先制弾、ブラジル戦での長谷川のチャンスメイクなど、ポジティブな要素もあった。しかし、アメリカ、ブラジルとの連戦でより目に付いたのはネガティブな部分。中でも、最終ラインの組み立てのスキルは、最前線でボールを収める技術は絶望的なレベルだった。

 熊谷、南、杉田らはアメリカのハイプレスに対応できず、清水、石川などはブラジルの激しいプレッシャーにあまり打開策を見出せなかった。CFを任された植木や田中はなかなかタメを作れず、攻撃の基準点になれなかった。

 最前線と最終ラインがバタバタしている状況では、中盤に長谷川という極上のタレントがいてもチームは安定しない。やはり遠藤の負傷離脱は痛手だが、彼女の不在を今更嘆いても意味はないだろう。ブラジル戦で左ウイングバックを担った北川のパフォーマンスは決して悪くなかったものの、突出したレベルではなかったのも事実。こんな状態で本当にパリ五輪でメダルを狙えるのか、それがSheBelieves Cupで突きつけられた現実だろう。
 
 本番まで残り約3か月。池田監督はどんな戦略を練ってパリ五輪に臨むのか。現状、3バックシステムである程度引いて守りつつ、カウンターを狙う戦い方がもっとも現実的か、そう、昨夏の女子ワールドカップと同じスタイルである。

 ディフェンスラインからの組み立てを期待できない以上、手数をかけずにフィニッシュに持ち込む必要がある。そういう攻撃を成立させるには少なくとも、まだ本調子ではない宮澤の完全復活が不可欠か。

 いずれにしても、長谷川のチャンスメイクに反応できるアタッカーの出来が重要になりそうだ。

 藤野はパリ五輪を「女子サッカーの分岐点」と言った。この大舞台で結果を残せるか否か。間違いなく、大きなターニングポイントである。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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