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【今日の誕生日】3月21日/栄光をもたらした右足の“大砲”――R・クーマン(元オランダ代表)

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年03月21日

サッカーの歴史を彩る「大砲」の系譜に名を連ねた“勝利者”。

最終ラインからチームを統率し、そのキックで決定的な仕事を果たしたクーマン。安定したキックフォームは力強く、そして美しくもあった。写真はバルサでの欧州制覇時。 (C) Getty Images

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現在は、かつてオランダ代表として共に戦った実兄エルウィン(右)をアシスタントに、サウサンプトンを欧州カップに導こうと奮闘している(現在の順位はヨーロッパリーグ圏内の5位から勝点差3の7位)。 (C) Getty Images

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◇ロナルド・クーマン:1963年3月21日生まれ オランダ・ザーンダム出身
 
 今では、吉田麻也のボスと言った方がピンと来るだろう。昨シーズンよりサウサンプトンで指揮を執るロナルド・クーマンは、すでにそのコーチングキャリアが20年に達しようとしており、実績も十分に積んでいる。
 
 アヤックス、PSVでリーグ優勝(計3度)を飾り、ベンフィカ、バレンシア、AZでは国内カップを獲得。バレンシア時代には一部主力選手への冷酷な仕打ちによってその人間性に疑問を呈されたこともあったが、今では優れた指導者のひとりと言うことができるだろう。
 
 そんな彼の選手時代を振り返ると、アヤックス、PSV、バルセロナで計8回のリーグ優勝、さらに国内カップの他、チャンピオンズ・カップ(現リーグ)も2度制している。またオランダ代表としても1988年の欧州選手権で、母国を初のメジャーイベント優勝に導いた。
 
まさに、栄光に満ちたキャリアである。
 
 80年にフローニンヘンでプロデビューし、アヤックスで脚光を浴び、PSVでは欧州王者に昇り詰めてその評価を不動のものとする。89年から加入したバルセロナでは「ドリームチーム」の一員として数々のタイトル獲得に貢献し、97年にフェイエノールトでキャリアの幕を閉じた。
 
 彼の選手としての最大の武器は、重心の低い安定したフォームから放たれる、右足の強烈なシュートとロングパス。セットプレーで効力を発揮したのはもちろん、最後尾からの正確なフィードは、数々のチャンスを生み出した。
 
 常に冷静さを失わず、精神的な強さを持ち合わせていたため、ルート・フリット、マルコ・ファン・バステン、フランク・ライカールトといったスーパースターを擁するオランダ代表においても、PKを蹴るのはクーマンの役割だった。
 
 数々の重要な場面で“弾丸”を発射してきた彼だが、最も有名な場面が、92年のチャンピオンズ・カップ決勝、サンプドリア戦の延長戦で決めた決勝FKだろう。攻守で重要な役割を果たした彼は、その右足でバルサを初の欧州王者に引き上げた。
 
 こうして「大砲」の系譜に名を連ねたクーマン。そのプレースタイルは決して力任せのものではなく、非常にクレバーな選手だったが、この“飛び道具”こそが彼の最大の魅力だったのは間違いない。
 
 サッカーの醍醐味のひとつである強烈なシュートは、数々の伝説を創ってきた。ブラジルでは、リベリーノ、エデル、ブランコ、そしてロベルト・カルロスと、「左足の大砲」の伝統が受け継がれてきたし、現在もフッキらがパワフルショットで観客を沸かしている。
 
 W杯でも、イングランドのボビー・チャールトンの「キャノンシュート」をはじめ、アリー・ハーン(オランダ)や86年大会のジョジマール(ブラジル)が印象的なロングシュートを決め、ローター・マテウスやアンドレアス・ブレーメ(ともにドイツ)は目の覚めるようなFK、ミドルシュートを披露した。
 
 ポルトガルのエウゼビオ、イタリアのアントニオ・カブリーニ、ポーランドのズビグニエフ・ボニエク、デンマークのセーレン・レアビー、ドイツのマティアス・ヘルゲット……日本でも平野孝(名古屋グランパス他)、古賀誠史(横浜マリノス他)、岩本輝雄(ベルマーレ平塚他)の左足は鮮烈な印象を残した。
 
 技巧的なだけでなく、強力なシュートも打てる本田圭佑の現在のボス、ミラン監督のシニシャ・ミハイロビッチもまた、異様なほどに曲がるFKだけでなく、地を這う弾丸シュートでも多くのゴールを挙げてきた。
 
 他にも、ガブリエル・バティストゥータ(アルゼンチン)、ジミー・フロイト・ハッセルバインク(オランダ)、アルバロ・レコバ(ウルグアイ)、パトリック・エムボマ(カメルーン)、スティーブン・ジェラード(イングランド)、アドリアーノ(ブラジル)、ヴェスレイ・スナイデル(オランダ)etc. ……。
 
 現在では、前述のフッキ他、ファンタジスタの部類に入るクリスチアーノ・ロナウドも「長距離砲」の持ち主であり、高速ドリブラーのガレス・ベイルも同じ武器を持つ。悪童マリオ・バロテッリも、身体能力を活かした一撃で観客を驚かせることもある。
 
 ちなみにスピードを計測したところ、2005-06シーズンにポルトガルでスポルティングのロニー・エベルソンが200キロを超え、イングランドではブラックバーンのスティーブン・リードが放ったシュートは189キロを記録したという。
 
 クーマンも現役時代、180キロ超という数字を弾き出したことがあるという。「大砲」の破壊力は、我々の想像をはるかに超える。

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ブラジル代表に長く受け継がれてきた「左足の大砲」の系譜。82年W杯で活躍したエデル(上)は、ほとんどのプレーを左足1本でこなした。一方、“ロベカル”(下)は数々の信じられないシュートで伝説の存在となった。 (C) Getty Images

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