［アジア杯GS第１節］日本 ４－２ ベトナム／１月14日／アルトゥマーマ・スタジアム

　アジアカップで日本は白星スタート。グループステージの初戦、ベトナム戦で４－２の勝利を収めたけど、相手はけっこう手強かったね。

　局面の勝負でも簡単には負けない。“強い”というよりも“速い”。快足の伊東がぶっちぎるシーンも、そこまで多くはなかった。個々のポテンシャルは高いよね。

　先制されても、セットプレー２発で逆転に成功。特に１点目はスーパーだった。コーナーからニアで巧みなヘディングシュート。スコアラーのグエン・ディン・バックはまだ19歳で、これからが楽しみな選手だよ。

　一時、リードを奪われた日本だけど、前半のうちに再逆転。３－２で迎えた後半は危なげなく試合を進めて、最後に上田が勝利を決定づける４点目を奪う。

　相手に疲れが見え始めた頃に、堂安や佐野、久保らが出てくる。これで、まだ三笘や冨安もいるんだから、本当に日本の選手層は厚いよね。

　結果的には日本が格の違いを見せつけた一戦で、存在感が際立っていたのが南野だ。コーナーの流れから、菅原のシュートのこぼれ球を押し込んで先制点を挙げれば、１点ビハインドの状況で、遠藤のお膳立てから絶妙なフィニッシュで同点ゴールをマークした。
【動画】南野拓実、圧巻の２ゴール！

　とにかく、シュートに持ち込むまでのアクションが良いよね。元日のタイ戦では、得点にこそならなかったけど、堂安のスルーパスから決定機を迎えていた。この時も相手の背後を上手く取って、トラップからのターンもスムーズで、すぐ前を向いてシュートを打つ。

　ベトナム戦での２点目もそう。遠藤がキープした瞬間には、いつパスが出てきてもいいような態勢でスタンバイ。縦パスが入って、左足のトラップから右足を振り抜くまでも実に滑らか。敵ディフェンダーの股の間を射抜くシュートもさすがだった。

　得点以外でも、献身的なプレスなどハードワークで貢献。リバプールに行ってから、明らかに守備のレベルが上がったと思うし、プレミアの強度を保ち続けている。今はモナコに所属していて、試合に出続けているからコンディションも良さそうだ。

　本来の実力通りの活躍ぶりだと思う。トップ下で久保とのレギュラー争いも注目を集めそうだし、森保監督も嬉しい悩みがまた１つ増えたんじゃないかな。

【著者プロフィール】
岩本輝雄（いわもと・てるお）／1972年５月２日、51歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ／平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた“40メートルFK弾”は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。

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